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新・旋風のルストの今後について ―新・旋風のルストの意図したもの―

このところ、作品に対してネガティブな感想が連続できたことを受けてかなりダメージ受けてました

正直、新・旋風のルストは難産で、すごく迷いながら、つまづきながら書いた作品です

嫌いかといえば、旧旋風のルストと同じように大好きな作品です

でも、私生活でしんどい状況があり、
そこに加えて今回の出来事だったので
気持ちのエンジンが停まってしまったのは事実です

寝ずに一晩、ずっと考えてました
旋風のルストを続けるべきか? と

でも――
やっと書籍化にこぎつけたんですよね
ここからなんです
そう、まだこれからなんです

諦めるにはもったいない
エンジン再始動いたします

そのうえで一言――

今後、〝がっかりしました系の感想〟は読まずに消します

がっかりしたなら、余計なことは言わずに離れてください
それを残したからと言って、あなたの希望する内容に、作品内容が全面的に書き換わるわけではありません

私の作品は万人受けしません、それはわかっています
でも、新・旋風のルストは意図があってあの路線で書いています。

旧・旋風のルストが、成長途上――すなわち社会的地位を得るまでの子供から大人への端境期の話であるなら、

新・旋風のルストは『大人としての地位を得て社会に出たあとの話』です。

大人の社会とはストレスフルです、思い通りにはなりません
社会に出れば、なおさら自分のみの自力だけではどうにもなりません
協力し合うこと、それが大前提になります。
それは馴れ合いでもなんでもありません。
理不尽も嫌というほど降りかかります、プライベートなんてどんどん無くなります
親しい人を前にして、本音を出せないなんてザラです

社会的立場とプライベートの間で、事情を抱え込むこともあります。
『たすけて』の一言が親にすら言えない、そんな事はしょっちゅうです

新・ルストでルストはイリーザの隊長となりましたが、
そこにあるのは栄光だけではありません。

軍の外側にある組織ということで、正規軍からは便利組織扱いされるおそれが常にあります。
理解者もまだまだ少なく、やることは膨大で、ルストもイリーザを組織として成功させるためにプライベートを削ってまで奔走しています。

また、組織のリーダーとして公的に認められたことで、隊員との間に距離も生まれます。
組織のリーダーは、部下との間で常に本音で語れるわけではありません。
言いたいけど言えないことを山程抱えるのです。

ただ、忘れてはならないのは、ルストの部下であり仲間たちは、大切なルストの事を常に思いやっており、何も言わなくても、その身を案じ、時には先回りして、彼女を助けようとします。

そう、何も言わなくてもです。

この無言の心の連携による助け合い――

大人の社会で必ず出てくる『言わなくてもわかる』意思の疎通

――阿吽の呼吸――

それが新・ルストで一番書きたいことでした。

また、ルストの一人の女性としての本音も書いてます。

それが、実の母以上に信頼をしている恩人の存在です。
北部都市イベルタルの支配者であるシュウ女史です。

作中で裏社会を牛耳る女帝のような女性が登場しますが、彼女はルストにとって、親以上に本音を打ち明けられる存在であり、心を許せる存在です
その彼女と再開したことで、ルストはゆらぎます
社会的立場とプライベート的立場の間で迷い、ミスを犯します。
そして、最大の危機を迎えるのです。

――そこに現れて救いの手を差し伸べるのが、ルストが全幅の信頼を置いている仲間たち。
 阿吽の呼吸で、何も言わなくても通じるからこそ、助けに現れるのです。

 社会において『気のおけない仲間』『心を許せる同僚』『全幅の信頼をおける上司』と言うのは本当に希少です。
 だからこそ、ルストにとってイリーザと言うと組織を、理想の仕事仲間として描きたいと思い、新・ルストを書いています。

>阿吽の呼吸で、何も言わなくても通じるからこそ、助けに現れる

 これって馴れ合いでしょうか?
 気持ち悪い間柄でしょうか?
 私は違うと思います。
 
 ルストの状況を読み取り、先手を打ったドルス
 ルストの気持ちを察し、訪れてきたダルム老やカーク、
 呼びかけに応じて即座に集まってきた、仲間たち、
 そして、最大の危機に駆けつけたプロア、

 親友のレミチカ、
 恩人のハリアー教授、
 極秘の上司のブリゲン大佐、
 みな、ルストの事を慮ってくれています。

 絶対の信頼をおいてくれる侍女のノリア、
 そして、大切な家族である祖父のユーダイムに、母ミライル、

 そこには、互いを思いやる気持ちがあるはずです。だからこそ、配慮もしますし、手を差し伸べるのです。
 
 ルストは英雄と呼ばれるような女性ですが、一人の人間です。
 完璧ではないのです。

 また、ルストは特級傭兵として、公的な立場では特別な存在であり、容易には他者と関わり合うこともできません。
 特別な存在であるからこそ、同じような立場の者たちと繋がりを持ちます。
 そう、特級傭兵の存在です。
 彼らも、国家的英雄という立場から、ルストを理解し思いやり、助言を与え、時には協力します。国を守るという共通の目的のもとにです。

 そうして、ルストは様々な社会的立場と、誰にも見せれないプライベート的立場との間で、揺れ動きながら、祖国を守ると言う役目を果たすため、進んでいきます。
 
 旧作の旋風のルストが、一つの明確な目標のためにまっすぐに進みながら自分の居場所を探す少女の話であるなら、
 新・ルストは、社会的立場と本当の自分との間で激しく揺れ動きながら、自らが持っている人と人とのつながりの間で助けを得ながら『社会における自分』を作り上げていく物語です。

 旧作ルストより、新・ルストはストレスフルに映るかもしれません。
 プライベートで羽目を外し、任務とは別の場所でくつろぎ語らい合うルストのエピソードを冗長だと思うかもしれません。

 でも、

 一度社会に出たならば、プライベートの時間を得ることすら、大変であること。
 たとえ自分の使用人との間でも、本音で語らい合い、時には仕事を忘れて、余暇の興じる事も、その人にはとてつもない意味があるのです。

 旧作の旋風のルストはショートカットですが、これは『髪を切り過去と決別する』と言う意味があります。
 ですが、
 新・ルストではロングヘアです。
 これは『髪型を変えることで、社会的立場の自分と、プライベートの立場の自分を使い分ける』と言う意図があります。

 批判を恐れず結論を書くなら、

 旧作ルストは『子供時代の終わりと巣立ち』を描く物語であり、
 新・ルストは『長い大人時代の始まり』を描く物語なのです。

 私の筆力はそれを描くにはまだまだ未熟かもしれません。
 でも、私の思い描くルストという女性はまだまだ成長途上なのです。
 そんな彼女をこれからも見守ってほしいと思います。

 乱文失礼いたしました。

ζ
■D:美風慶伍

 
 

2件のコメント

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