佐々井 サイジ

私は2年前にボスママ総選挙に破れ、日菜子ママ率いる主流派のママたちに雑用を強いられてきた。そして今日は再びボスママ総選挙の日、今回は周到に準備してきたから大丈夫……。

放課後に奈央とトイレで雑談していた私は、真っ赤な口紅おじさんの噂を聞く。真っ赤な口紅おじさんを町で発見して家まで付いていくことができたら、好きな人と結ばれるらしい。私は信じなかっ…

シャイボーイズは、きらきらしい男性アイドルグループだった。しかし、全員が強い人見知りゆえ、人前で歌い踊ることに負担が溜まり、精神不調で活動休止に追い込まれてしまう。マネージャーが…

パソコンでYouTubeを見ながらLINEを確認していると、元カノのアイコンがウェディングドレス姿に変わっていた。元カノは後ろ姿だけ見えるスーツ姿の男を見上げて微笑んでいる。俺は…

わたし（涼音）は、密かに思い続けていた太一へバレンタインデーの日にチョコレートを渡そうとしていた。そのときに思いも伝えようとしたが、勇気が出ずに告白できずにそのまま卒業してしまう…

高校入学したての頃、私は才色兼備な理奈とすれ違いざまに「セイウチみたい」とつぶやかれた。デブと出っ歯がコンプレックスだった私はその日、早退して泣きはらした。翌日以降、理奈を避けつ…

私は一年前に予約していた不倫発見スプレーをようやく手に入れた。これを吹きかけると不倫したかどうかがすぐにわかるらしい。早速夫の衣服に吹きかけてみると……。

僕はある男を橋で探し続けていた。十二月で雨が降っているにもかかわらず僕は傘を差さずに行き交う人々の顔を覗き見続けている。するとある男が話しかけてきて……。

P氏は突然妻に先立たれた。40歳の誕生日祝いをしたばかりだったのに。悲しみに暮れる毎日。しかし、ある夜、妻が出てくる夢を見て「私と一緒になりたかったら、現世で十個徳を積んで」と言…

六十代後半の男は趣味の釣りから帰宅すると、妻がうつ伏せで倒れており血まみれの状態だった。妻の背中には包丁が突き刺さっている。名前を読んだり体を揺すったりするが応答はない。

俺は最愛の妻をTによって欲望のはけ口にしたのちに殺された。Tは『被害者遺族による死刑』と結審し、俺がTを殺せることが確定した。

菜々美、体調はどうですか。元気な男の子を出産したと楓花から聞きました。私は菜々美が職場から消えて、とても穏やかに仕事ができています。 産休した同期は自分勝手で空気の読めない女だっ…

野本は同期入社した寺西ひかりに恋心を抱いていた。しかし野本はこれまで一度も好きな人に告白したこともなければ付き合ったこともない。自分に自信が持てない野本だったが、ある日、ひかりか…

就職活動中の男は書類選考段階で落ちまくっていた。どうせ落ちるなら一社くらいふざけて書いてやろうと思った男は、これまでの経験をもとにつらつらと書きだしていく。

大学時代のサバサバ女子から「人生の相談がしたい」と連絡が来た。俺は、大学時代、普段は男勝りな正確な彼女がベッドの上で女らしくなることを妄想してばかりいた。俺はその妄想が現実になる…

隣に引っ越してきた男が引っ越しの挨拶をしてきた。見た目は同じ年くらいで、喋るとハキハキして誠実そうな人だった。 ある日、俺は夜にベランダでビールを飲んでいると、隣から「痛い」「助…

個別指導塾の教室長である俺は、アルバイト講師の藤崎に思いを寄せていた。バレンタインにチョコをもらったことがきっかけでお礼に誘うが、やんわりと断られてしまう。しかし、それにめげずに…

私は中二、中三と連続で一緒のクラスになった沖本くんのことが好きだった。沖本くんはずっとマスクをしていて顔全体を見たことはなかったが、誰でも平等に接する人柄の良さに惹かれていた。卒…

私はかつて、大学三年から三年間大ちゃんと付き合っていた。誠実な人柄の大ちゃんは勉強熱心で、常にビジネス書を読んで仕事に励んでいた。でも一向に仕事が上達しない大ちゃんに見切りをつけ…

主婦の乾さんと岸辺さんは同じ団地であるが、決定的に違うことがある。それは一軒家持ちか県営アパート住みかということである。この違いによって両者の間に激しい火花が散るのである。

亡くなった母の遺影を見て、私は子供時代のことを思い出す。ブスは勉強しろと毎日呪詛のように言われ、椅子に縛り付けられていたあの頃。私は、母に何を思うのか。

憧れていた電車通学の大学生活に早くも疲れていた私は、ある日、車内でシチリアレモンの香りのする彼と出会う。私も同じ匂いのディヒューザーを部屋で使っていた。 話しかける勇気がないまま…

三浦は三十歳にして頭頂部が剥げており、生徒から馬鹿にされていた。そんな三浦が学校を離れることとなり、生徒の前でスピーチしたこととは。

"俺"はコーヒーチェーンで空いている席を探しに店内を歩いていると、高校時代に付き合っていた茉奈を見つける。茉奈は進学科の中で最もかわいいと評判であり、そんな彼女と付き合えたことを…

密かに思いを寄せていた君島くんと付き合うことができた瀬里奈。友達は祝福してくれた、と思ったが放課後に呼び出されて……。

浅谷は10年前の手紙を机の引き出しから探し当てた。そこには10年前の楽しい日々が綴られていた。まるで当てつけかのように……。

北原は会社でミスをした罪を被せられ、多くの社員の前で部長に怒鳴られ、土下座をさせられた。以降、無断欠勤を続け、ふさぎ込み、自殺を決意して山に入る。ロープの輪っかに首を括ろうとする…

女は家庭用ヒトゴミとして夫を出すことにした。夫にごみを捨てに行くように依頼し、ゴミステーションの扉を開けたときに背中を押して、夫をゴミステーションに閉じ込める。

男は72歳でこの世を去り、気づいたら天国か地獄か振り分けられる行列に並んでいた。生前の行いからして天国に行けることは間違いないと思いながら、水たまりに移る自分の葬儀の様子を見てい…