元寇の時、大風を呼んで国を救った巫女姫――恋に落ち、駆け落ちしてたどりついたのは、都から遠く離れた大木村という、国境の村だった。そこで巫女姫の子孫たちは、その存在を隠しながら、巫女姫一族としてひそかに暮らすことになる。
そして時は移り戦国、一族に、一人の強大な力を持った娘、小夜(さや)が現れる。しかし日々「巫女姫」になるべく修行していた彼女は、ある一人の逃走兵・藤吉郎と出会い、大きくその運命を狂わせられることになった。
夏目漱石の『夢十夜』第四夜から発想を得て作り始めた小説です。「恋に命をかけられるか」という議論の中で出来たものです。舞台を戦国時代に置き換え、しかし名のある戦国武将ではなく、その時代に暮らす市民の位置から作品を描きました。実在人物や場所は一切出てきません。
に更新