https://kakuyomu.jp/works/16816700428735074285/episodes/16816700428808969635
はじめてその名前を知ったのは、父親の本棚に後ろ向きに隠されていた本だった。たしか『色まんだら』だったか、著書は瀬戸内晴美だった。
いかがわしい匂いがした。厳しい父親にはそぐわないタイトルだったが、覗き見たい気持ちがあった。いつか隙を見て読んでやろうと思ったけど、実は未だに読んでいない。僧侶になったと聴いても、いかがわしい本を書く作家だと思っていた。あるとき、週刊誌で写真を見た。一変で興味をもち、彼女の経歴を知り、少しの記事でもくいいるように読んだ。素敵な女性だった。死ぬまで少女のような可愛らしさで溢れていた。