「ヒューマンシステム」終わりましたね。まずはざっくり半年間、ありがとうございました。
気軽にサクサク読めるSFを目指しましたが、いかがでしたでしょうか。
そしてタイミングよく、作中の4月と同じ、4月で終わりました。
彼女がこの日選んだ私服は、帰ってからメリナと一緒に選んだものだと思います。
1章で二人の出会いを、2章でラディウの立場と内面を、3章で1章に出てきた事件を一つにまとめて終わらせました。
ちょっと3章で詰めすぎたかなと思いましたが、ダラダラ4章として組み立てるのもリズムが悪いなと、そこは思いきりました。
一番最初につけたキャッチは「人とマシンの繋がり、人と人の繋がり」でしたが、あまりにも反応が悪いので、今のキャッチコピーです。
1章でラディウの正体が明らかになったところで「ヒューマンシステム」ってこういうことか!という感想をいただいていましたが、そうでもあり、そうでもなくw
システム=繋がり、体系、全体としての機能のまとまり。
それと、systemの接頭語であるSysには『ともに』や『一緒に』『調和』といった意味合いがあるそうです、それも踏まえて「ヒューマンシステム」はそのまま「人間の繋がり」支援AIと統合システム「コッペリア」との繋がり、調和も意味してます。
お話も所々で繋がるようにしてあります。
例えば1章2話でヴァロージャがラグナスを訪れるところと、3章最終話のラディウとヴァロージャが二人でラグナスを訪れるところ。
2章でメリナに指摘されるラディウの「不安」は2章でずっと彼女に付き纏い、またメリナの「報告案件」というセリフも2章内で回収されます。
3章のドア越しのヴァロージャの告白。今思うと1章で彼女に身分証を見せるところで対比してましたね。
それと、「どこが軽いんだ? ゆるいんだ? 重いじゃないか!」と言われそうですが、ガチのミリタリーやSFよりはライトかな?っていう主観です。(いつかどっちかにも刺されそうw)
それにこの作品、ミリタリーだけど戦記じゃないんです。
私がこの作品を書くに当たって気をつけたことは、「戦争をしないこと」「政治をやらないこと」です。
本編あとがきにも書きましたが、現実世界で戦争が起きていることも理由の一つです。実際の戦争は数人のスペシャルな兵士が大きく戦局を変えて終戦に至ることはないでしょうし、戦記を始めれば、お話を終わらせるために終戦にもって行く必要がある。
そうなると様々な政治的な動きが出てくることになり、架空の人物とはいえたくさん人も死ぬでしょう。
思想の問題もあるし、登場人物も増えてお話が複雑で長くなるので、それはしたくなかった。
ただし現実でもあるように、大きな戦争には至らない紛争や小競り合い、所謂小さな武力衝突は起きている。
ミリタリーにする以上はどうしても敵対勢力は必要です。そこで、彼らの世界は現在大きな戦争は起きていないが、イデオロギーの違いや資源の取り合いによる武力衝突は起きている。という設定にしました。
どこかで何度か書いていますが、元々この作品は「ロボットもの」でした。
宇宙でロボットになるとどうしても「ガ○ダム」になってしまう。
でも、宇宙でメカもの書きたい。
そこで出てきたのが「戦闘機」。
それじゃ「マク○ス」だろうが!と言われますが、変形しないんで。
ロボや変形はロマンです。私も好きです。でも兵器として考えた時に整備コストとかめっちゃくちゃかからない? 製造コストも凄くない? 兵器としてそれってどうなの? 現場の運用は? それじゃあ航空機でよくない? というリアル脳から出てきたのが、作中の航宙戦闘機です。
ラディウとヴァロージャの年齢設定も、当初は同い年の少年と少女だったのが、ヴァロージャだけ年齢が上がり成人になりました。
彼の設定である17歳で士官学校。これは米海軍のアナポリスの入学年齢が17歳〜22歳までに由来します。
作中でロナウドが言っていたように「ホビーの入賞成績ぶら下げて入学した」ってやつです。
後、全体的に皆いい人です。
ここはもうフィクションです。
真正の悪は出しませんでした。
あとは本作。3章で全ての事を書いていないのは、読まれた方ならおわかりかとおもいます。
これは「ラディウの軸」で見ると話が複雑になるから、あえて書かなかったのです。
とはいえ、ざっくり残っているのは、ヴァロージャサイドの問題が少々。ウィリーズの”ベレッタ”も生存してます。
Dr.ヤロシェンコとウィリーズ、Dr.シュミット(スミス)とイサベラ・ローアンの関係もまだ書いていないですね。
どこかのタイミングで、ラディウたちはシルヴィアたちと再戦するでしょうし、トムに助け出されたフレドリクの事もあります。
帰還して復帰後にラディウはスクラートに謝りに行き、多分何かしら仕事を引き受けざるを得ない状況になるかもしれません。
ステファンとラディウやルゥリシアのオフ絡みも書きたいし、94期首席のジューン・ブロッサムの事も書きたい。
コッペリアシステムの各AIたちも、もっと出したかった。
結果的に失恋モードのトムですが、彼には後に猛烈にアタックしてくる女の子がいますし、ティーズとラディウの関係ももう少し書きたかったですね。あの子はあれでティーズに懐いてますから。
とまぁ、広げようと思えば、いくらでも広げられる世界設定ですが、とりあえず一旦ここで終わりにしたいと思います。
14歳の時にロボットモノで考えた中学生の私。
最初に考えたものからは、規模も内容も大きく変わったけど、ウン10年の時を経て、こんな形で彼らの物語は書き上げたよ!
そして、昨夜袖机を片付けてたら出てきたクロッキー帳の隅っこに、2人の関係、FA、リープカインド、世界観、様々な「どうしよう」を箇条書きに走り書いた20代頭の私。
あれらの悩みは、こんな形とこんな世界にまとまったよ。