篠宮りさ

夏江が結婚するらしい。まさか、恋人の影なんかまったく感じなかったのに。私の心臓はドクドクと私を強く叩いていた。

大丈夫。私は甲冑を着ているから。

私と彼女はキスフレンドだ。毎週水曜日の第三教室で、私たちは逢瀬を重ねた。

今日の日記は長くなりそうだ。小脇に抱えた風船がキュキュッと音を立てた。

ねえ、常識っていつかは本当にひっくり返ると思うの。その言葉の意味を、私は半年後に知ることになる。

｢僕｣は篠宮さんに恋をしているのだろうか。 篠宮さんのランドセルの隅で、アリスのストラップが揺れていた。