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パパとお兄ちゃん

 夏休みということで、子供たちもよくそばに来ます。
 ちょっとした相談もされます。

 夕霧が――

 混乱するかもしれませんが、我が家には、

 夕霧命(ゆうぎりのみこと)
 と、
 夕霧童子
 ふたりの、『夕霧』がいます。
 私が呼び捨てにするのは、童子、五歳児の方です。

 こんな会話があったんです。

「ママ?」
「ん、どうしたの?」
「パパとお兄ちゃんって、前から好きだったのかな?」

 教育的指導!

「お兄ちゃんじゃないよ。パパ。結婚したからね」

 夕霧命の従兄弟が、光命(ひかりのみこと)なので、十五年前から付き合いのある、夕霧童子にとっては、光命は未だ油断すると『お兄ちゃん』になってしまうようです。

「そうなんだけど……」

 それっきり、夕霧は口ごもってしまい。ママはピンと来ました。

「結婚したから、びっくりした?」
「そう」

 まぁ、驚くよね。
 本人たちが必死で隠してきたことを、小さな子供が知るわけがないもんなぁ。
 だからと言って、私も光命と夕霧命の過去はよく知らないからね。
 あのふたり、ラブラブで秘密で話してることが多いから。
 予測で話すわけにもいかない……。

「どうなんだろうね〜?」
「…………」
「どうかした?」
「僕も男の子を好きになるのかな?」

 それは一概に言えないよね。
 親と子供は別の人間だからね。

「誰か好きな男の子でもいるの?」
「ううん、いないよ」
「女の子は?」
「ん〜……」

 珍しいね。
 子供って、好きな女の子ができたら、すぐに話してくるのに……。
 隠したがる子もいるのかぁ〜。

 ママは大発見です。

「……彼女はいるよ」

 ラブラブだった。
 
「まぁ、気になるんだったら、夕霧パパと光パパに直接聞いてみたら?」
「うん、そうする」

 別に聞いても、ふたりとも大人だから、きちんと話してくれます。

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