私、天川つかさにとって幼馴染は心の拠り所だ。
幼い頃から、自分は他とは異質なんだという自覚があった私にとって、変わらず接してくれる幼馴染…心根あかねは、私の中で唯一心の内側を曝け出す事が出来る人間だ。
尚且つ、私が恋心を寄せる…大切な女の子でもある。
けど、あかねは私を嫌っていた。
それは複雑な家庭環境、周囲の悪い大人の影響によって、あかねは私のことを敵視するようになっていった。
何でも出来てしまう私とは対照的に、何も出来ない無能として蔑まされてきたあかねは、私と比べられる内に私を恨んだ…私を拒んだ。
本当はそんな筈がないのに。
努力していた君を間近に見て、応援していたからこそ…あかねの変わりように私は悲しみに暮れた。
いっそ、あの大人達を殺してやろうかとも考えた。
考えうる惨い殺害方法で、あかねを苦しませた罰として地獄を見せてやろうかとも考えた。
でも、私はそうはしなかった。
なによりも、あかねが大切だったからこそ…あんな大人達に時間を割く場合ではない。
なら、私がやるべきことは一つだと、その日をキッカケに私は動き始めた…。
あかねが好きだ。
嫌われても、拒まれても、恨まれていても、私の気持ちは変わらない。揺るぎはしない。
とはいえ…心は泣き叫ぶくらい悲しいけれど、いつかきっと…君が私に笑いかけてくれる日を願って。
私はゲームセンターで君を見つけた日、決意したんだ。
必ず君を堕としてみせる。
そして、あんな大人達をぎゃふんと言わせてやるくらい、めいいっぱい君を幸せにする。
悲しげな顔を見るのはもう、イヤだから。
一緒にいられないことが、辛いから。
だから必ず、君を堕とす。
私の彼女にして、私の妻になって…私から離れた事を後悔してしまうくらい、君を変える。
だから、ここから始めよう。
そうして、その日…私は初めてあかねとキスをした。
あかねは心底驚いた様子で、酷く慌てふためいていた。
そして、これが始まりで…私の恋は、ここを機に再スタートを果たしたのだった。
◇
私、心根あかねにとって幼馴染とは気まずい存在だ…。
今でこそ恋人として関係を紡いで来ているけど、実際のところは過去に私が一方的に嫌っていた過去がある。
黒歴史…って言ったらいいのか、どう言葉で表現したらいいのか分からないけど、あの時の私はかなり荒んでいた。
お母さんはお父さんの転勤をキッカケにおかしくなっていった…。
なんでもかんでも幼馴染のつかさと比べて、それでいてつかさより下の私を見て、暴力を振るっていた。
簡単に言えば、お母さんはおかしい。
元々はああじゃなかったけど、エスカレートしていった行為は、段々と不倫などに発展していって…私は耐え切れなくなって逃げた。
そして、逃げていた先で私はつかさと出会ってキスをして……そしてなんやかんやで同棲生活を送る事になって、気が付いたら恋に落ちていた。
うん、何を言ってんだこいつ〜って思うけどさ?事実なんだよ。まじで。
まぁ、でも…こうしてつかさと一緒にいられてる今が、私にとっては幸福そのもので…心を落ち着かせる唯一の場所でもある。
確かに、私はつかさに酷いことを沢山した。
一生を掛けてでも償わなきゃいけない言葉を吐いて、つかさを苦しませた。
そんな私なんか、死んじゃえばいいのにって偶に思ってしまうくらい…私は酷い人間だ。
でも、そんな私をつかさは側に置いてくれている。愛してくれる。
ホント…どんだけ感謝しても、しきれないくらいつかさは私にゾッコンだ。
だからこそ、つかさと私は気まずい関係ってわけ。
それでも、私のこの気持ちは嘘なんかじゃない。
贖罪から来る、罪悪感でもない。
私は心の好きからつかさの事が好きで、隣に居ていたい。
でも私は最低な女だから、つかさが嫌がったら素直にこの身を引くんだけどさ……。
まあ、その…えっと。
つかさが私を許してくれる限り、私はつかさの隣にいる……。
それが一体どれだけ続くのかは分からないけど…せめて、ウエディングドレスを二人で着るまでは、二人でいたいな…なんて、淡い妄想に浸るのだった……。
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最近投稿できてないので秒で書いたのをここで書きました。
別に本編に関わる事とかそんなんじゃないです。