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ふたりのきもち


 私、天川つかさにとって幼馴染は心の拠り所だ。
 幼い頃から、自分は他とは異質なんだという自覚があった私にとって、変わらず接してくれる幼馴染…心根あかねは、私の中で唯一心の内側を曝け出す事が出来る人間だ。
 尚且つ、私が恋心を寄せる…大切な女の子でもある。

 けど、あかねは私を嫌っていた。
 それは複雑な家庭環境、周囲の悪い大人の影響によって、あかねは私のことを敵視するようになっていった。
 何でも出来てしまう私とは対照的に、何も出来ない無能として蔑まされてきたあかねは、私と比べられる内に私を恨んだ…私を拒んだ。

 本当はそんな筈がないのに。
 努力していた君を間近に見て、応援していたからこそ…あかねの変わりように私は悲しみに暮れた。
 いっそ、あの大人達を殺してやろうかとも考えた。
 考えうる惨い殺害方法で、あかねを苦しませた罰として地獄を見せてやろうかとも考えた。

 でも、私はそうはしなかった。
 なによりも、あかねが大切だったからこそ…あんな大人達に時間を割く場合ではない。
 なら、私がやるべきことは一つだと、その日をキッカケに私は動き始めた…。

 あかねが好きだ。
 
 嫌われても、拒まれても、恨まれていても、私の気持ちは変わらない。揺るぎはしない。
 とはいえ…心は泣き叫ぶくらい悲しいけれど、いつかきっと…君が私に笑いかけてくれる日を願って。
 私はゲームセンターで君を見つけた日、決意したんだ。

 必ず君を堕としてみせる。
 そして、あんな大人達をぎゃふんと言わせてやるくらい、めいいっぱい君を幸せにする。
 悲しげな顔を見るのはもう、イヤだから。
 一緒にいられないことが、辛いから。
 
 だから必ず、君を堕とす。
 私の彼女にして、私の妻になって…私から離れた事を後悔してしまうくらい、君を変える。

 だから、ここから始めよう。
 
 そうして、その日…私は初めてあかねとキスをした。
 あかねは心底驚いた様子で、酷く慌てふためいていた。
 そして、これが始まりで…私の恋は、ここを機に再スタートを果たしたのだった。



 私、心根あかねにとって幼馴染とは気まずい存在だ…。
 今でこそ恋人として関係を紡いで来ているけど、実際のところは過去に私が一方的に嫌っていた過去がある。

 黒歴史…って言ったらいいのか、どう言葉で表現したらいいのか分からないけど、あの時の私はかなり荒んでいた。
 お母さんはお父さんの転勤をキッカケにおかしくなっていった…。
 なんでもかんでも幼馴染のつかさと比べて、それでいてつかさより下の私を見て、暴力を振るっていた。

 簡単に言えば、お母さんはおかしい。
 元々はああじゃなかったけど、エスカレートしていった行為は、段々と不倫などに発展していって…私は耐え切れなくなって逃げた。
 そして、逃げていた先で私はつかさと出会ってキスをして……そしてなんやかんやで同棲生活を送る事になって、気が付いたら恋に落ちていた。

 うん、何を言ってんだこいつ〜って思うけどさ?事実なんだよ。まじで。
 まぁ、でも…こうしてつかさと一緒にいられてる今が、私にとっては幸福そのもので…心を落ち着かせる唯一の場所でもある。 

 確かに、私はつかさに酷いことを沢山した。
 一生を掛けてでも償わなきゃいけない言葉を吐いて、つかさを苦しませた。

 そんな私なんか、死んじゃえばいいのにって偶に思ってしまうくらい…私は酷い人間だ。

 でも、そんな私をつかさは側に置いてくれている。愛してくれる。
 ホント…どんだけ感謝しても、しきれないくらいつかさは私にゾッコンだ。
 
 だからこそ、つかさと私は気まずい関係ってわけ。

 それでも、私のこの気持ちは嘘なんかじゃない。
 贖罪から来る、罪悪感でもない。
 私は心の好きからつかさの事が好きで、隣に居ていたい。
 でも私は最低な女だから、つかさが嫌がったら素直にこの身を引くんだけどさ……。

 まあ、その…えっと。
 つかさが私を許してくれる限り、私はつかさの隣にいる……。
 それが一体どれだけ続くのかは分からないけど…せめて、ウエディングドレスを二人で着るまでは、二人でいたいな…なんて、淡い妄想に浸るのだった……。



最近投稿できてないので秒で書いたのをここで書きました。
別に本編に関わる事とかそんなんじゃないです。
 



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