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うっすら実話怪談(1)様子見


私の母方が霊媒気質。
私にも、うっすらそのケがあります。
ただし、私には見えません。聞こえるだけです。

今朝方、3時ぐらいにボソボソとした人の話し声で目が醒めた。
戸建ての一階で両親が寝ています。

「ん? なんだ?」

両親に何かあったのか?
布団に横になったまま、寝ぼけならが考えていると、
二階の私の部屋の襖が、すーっと少しだけ開かれた。

そして誰かが部屋を覗く気配がした。
直後に、弟の声で不愉快そうに言われました。

「なんじゃい、寝とるやないかい。○○ちゃん」


○○とは、私の本名の下の名前。
弟には姉が二人いますから、
長女を姉ちゃん、私のことは名前で呼びます。

弟は、それだけ言うと、襖を閉めた。

こちらとしては、なんじゃいとは、なんじゃいです。
私は十二時に就寝し、部屋から一歩も出ていません。

朝になったら何だったのかを聞こうと思い、そのまま寝ました。


すると、両親は「そんな時間に起きてないよ」と、ぽかんとする。
弟も「そんなこと、するわけないじゃん」と、一刀両断。

いや、私の身に何かあったと、
勘違いした家族が心配でもしたのかと、弁明しました。
ですが、両親にも弟にも全否定されました。

だったら、余計なんじゃいです。

考えてみれば、いくら深夜とはいえ、
一階での話し声が、二階の部屋の私に聞こえる訳がない。
でも!
あれは弟の声でした。家族ですから間違えるはずがありません。
そして、いかにも不愉快そうな口ぶりも、弟のもの。

すぐに襖は閉じられて、それきりです。
すーっと閉じられる音もした。


ですが、私を○○ちゃんと呼ぶのは、母と弟しかいない。
そして、母が朝まで寝ていたことは、父が証言しています。


だったら、教えて。
夜中の3時。
私が『ちゃんと』寝てるかどうか、様子見に来たのは誰なのか。
教えて、誰か。


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