江戸時代に出版されたもっとも有名な怪談は『死霊解脱物語聞書』でした。これは鬼怒川沿いにある羽生村というところで、菊という娘が死霊に憑依された事件をルポルタージュの形で本にしたものです。
この事件は百年以上たっても人々を惹きつけました。
曲亭馬琴や鶴屋南北が小説にし、歌舞伎にしました。
しかしもっとも有名なのが三遊亭圓朝の『真景累ヶ淵』だと思います。
『真景累ヶ淵』と『死霊解脱物語聞書』を同じものだと思っている人が多いようです。実は私もそうでした。
『真景累ヶ淵』は『死霊解脱物語聞書』の後日談なのです。曲亭馬琴や鶴屋南北も『死霊解脱物語聞書』をもとにした創作です。
私の『実録 死霊解脱物語』も実録といいながら当然、創作ではあるのですが、《『死霊解脱物語聞書』ではこのように書かれていますが、実際はこんなことがあったのです》というファンタジー小説です。
原稿用紙で350枚ほどですが、
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。