節分のことを、昔は追儺(ついな)と言いましたが。
追儺の儀式のなかに、鬼遣らい(おにやらい)という悪鬼退散の行事があったそうです。方相氏(ほうそうし)という呪術師が熊の皮を被り、目が四個あるおぞましいお面をつけて「悪い鬼はいねえかあー、いたら喰ってまうぞおー」と叫んだかどうかは知りませんが、とにかく鬼役の朝廷の下っ端役人を明け方まで追い回していたそうです。
そして時は流れ、いつしか一番鬼らしい方相氏が「あいつが鬼野郎だ」と言われて追われるようになったようです。人間は見た目で判断されがちだという苦い教訓を背負いながら。(鬼遣らいについて正確な情報が知りたい方は、御自由に広く検索してみてください)
「鬼は外、福は内」豆で打ち払われた鬼の行き場はどこでしょう。自分さえ良ければいいと恥ずかしげもなく声高に叫んでしまう行事に日本人の素直なエゴイズムを感じたりします。