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あれからもう十年なのですね。

東日本の大震災より十年。

時間の流れは早いものだと実感させられてしまいます。

あの時の私は京都でとある病院で透析センターで勤務をしていました。

14:46……東日本からこんなにも距離が離れている京都のとある病院。
何時もであればまだ患者さんが残っていらっしゃったのかもしれない。
でもこの日に限って早く終了すれば全ての患者さんは帰宅され、私達スタッフはベッドメーキンや後片付けをしていた時でした。

突然大きな横揺れが襲ったのです。
それも2~3分くらいかな。
ベッドや透析のコンソール(機械)は小さな車が付いているのでストッパーはしてあるのですが関係ないよと言わんばかりに大きく動きました。

揺れが収まれば次は一斉にそのコンソールより以上アラーム音が鳴り響きます。
皆でそれを解除しつつ臨床工学技士の子達は一斉に院内の機器チェックへと飛び出しました。

看護師である私達は休憩室のTVをつけて初めて震源地が東日本だと知りました。
そしてTVにその時しか映らなかったのですが、海沿いの道路……大きなカーブのあるところなのですけれどね。
もう目の前に津波が来ると言うのに何故か引き寄せられる様に何代もの車が津波の方へと走っていくのです。

私達はTVの向こう側から

「あかん!! そっちに行ったらあかんて!!」
「津波来とるやろうが!!」
「こっちにこなあかんって!!」

皆口々にTVに向かって叫んでいました。

でも結局その数台の車は津波の方へと……。


そのシーンはその日だけしか見てはいません。
後は洗濯機の様に街が崩壊していく様子を私達は呆けるように見つめていました。

あの光景は十年経った今でも忘れられない映像でした。

あの時地震と津波で命を失われてしまった多くの皆様、そして未だ家族の許へ帰れない皆様のご冥福を京都で祈っています。

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