今回の作品は、わずかですが、作品内で小説を取り上げました。今後も、取り上げるのかどうかまだ分かりません。そこから、強引にお勧めの小説に話題を転換します。
M・ショーロホフの『静かなドン』です(あの漫画ではありません)。ロシア文学(彼は旧ソ連時代)の中でも、トルストイの直系と言われています。戦争に翻弄されるドン・コサックの悲劇を描いています。大長編小説で、全五巻を読破するには相当の忍耐と努力を要します。多くの人が挫折します。また、ショーロホフ自身が、戦争後遺症だと思われる、その心の傷を戦争描写として描きます。残酷であり、執拗に繰り返されます。これを読むことは本当に困難です。そこで、読書のポイントがあります。第一巻だけを読むことです。一巻で一度、完結します。第一巻には、これまでのロシア文学者とは違い、欧米文学の影響を受けたショーロホフならでの乾いた風景描写、そして、恋愛描写があります。このモダンな感覚は、当時のロシア文学の中で、彼だけのものだと思います。ドストエフスキーやトルストイとは違う、もう一つ新しい文章感覚の持ち主のショーロホフをお勧めします。
絶版になっているので、一般には入手できませんが、図書館ならあると思います。