Side:ノクティア
大晦日の夜、誰かと新年を迎えるなんて初めてだわ。
あっちの世界で最後の新年を迎えた時は、数日徹夜で研究していたのよね。魔王としてやるべきことはあったのだけど、面倒でキャンセルして代理に任せていた。
そもそも魔王は絶対君主ではない。一定の権限はあるけど、魔王もまた勇者と同じ。勝手なことが出来ないような体制だった。
テレビの音とカケルの親戚たちの楽しげな声が聞こえる中、小さい子供のひとりが私のところに駆け寄ってきた。
「ノクティア! できた!!」
「わたしも!」
「あら、上手ね」
少し暇そうにしていた子供がいたので、持っていた銀粘土でアクセサリーを作ろうと声をかけると熱心に作っているのよね。
「粘土遊びでシルバーアクセサリーが作れるのかぁ」
大人たちも興味深げに見ている。これはこっちの世界のもので珍しいものじゃないけど、知らない人は知らないのでしょうね。
「凄い、上手ですね」
子供たちと一緒に私も作った品も、大人たちは興味深げに見ている。こっちにいる間に洋服と一緒にアクセサリーを作って売っていると教えたこともある。
「面白いわよ。やってみる? 焼きと磨き上げは私があとでやっておくわよ」
「そう、ちょっとやってみたいわ」
男性陣はあまり興味がないみたいだけど、比較的若い子たちは興味があるらしく銀粘土で思うままにアクセサリーを作り始めた。
私はどちらかというと、こうしてなにかをしているほうが落ち着く。魔王らしくしてほしいと苦言を呈されたことも今は懐かしい。
今頃どうしているのかしらね。
戻りたいとは思わないけど、私の行動によりあっちの世界と魔族たちはどうなったのかは知りたいと思うところはある。
無論、大きな変化がないのはほぼ間違いないけど。
でも、少ないながらにいたのよね。戦争を繰り返す人族と魔族を変えたいという者たちが……。
彼らがカケルと私たちの意思を継いでくれるといいけど。
「ノクティアさん! ノクティアさん!」
うふふ、子供の相手も楽しいわね。自分もまた命ある生命なのだと実感するわ。
「どうしたの?」
「あのね! あのね!」
子供も、直接相手をしたのはこっちに来てからね。近くに寄ってくることすらなかったから。
結婚も子供もまったく興味がなかったのは、そういう環境を知識としてしか知らなかったからなのかも。
カケルとカケルの一族を見ていると、家族を持つというのも楽しそうだと思える。
少なくとも魔王なんてやっているよりは遥かに楽しい。
いつか、私も……。
※一年間、ありがとうございました。
皆様、よいお年をお迎えください。