※皆様、メリークリスマス
深く考えないで書いたので、本編との繋がりはあるのかないのか分かりませんw
Side:久遠一馬
師走も迫ったこの日、元の世界なら別の意味で賑わう季節だ。
十二月二十四日、そう、クリスマスイブになる。
もっとも、この時代の日ノ本ではキリストの生誕祭なんてやるわけにいかないので、なにもないけど。
「かじゅま?」
この日もお市ちゃんが遊びに来ている。一緒に積み木をしているんだが、手が止まったことで小首を傾げてしまった。
「いえ、どこに置こうかなと」
「うーん、ここ!」
お市ちゃんのお姉さんたちも今日はいるけど、楽しげなお市ちゃんと遊ぶオレを微笑ましげに見ている。
暖かい部屋でのんびりと遊んでいると、クリスマスソングの鼻歌を歌うすずとチェリーが姿を見せた。クリスマスソングが久遠家の歌になってしまうから自重してほしいところだ。
「皆の衆! 今日のおやつはケーキなのでござる!」
「美味しいのですよ!」
うん、すずとチェリーが食べたいと騒いだんだろうなぁ。言わなくても分かる。
「ケイキ!」
「いい子にしていないと食べられないのでござるよ~」
「いいこ?」
すずさんやお市ちゃんに変なことを教えない。まったくもう。
まあ、元の世界だと宗教的な意味のないイベントとしてクリスマスは日本に定着していたからなぁ。密かに楽しむのはありだと思うけど。
「かじゅま、いち、いいこ?」
「ええ、姫様はいい子でございますよ」
ほらすずの言葉を真に受けて、お市ちゃんが不安になってしまったじゃないか。乳母さんもくすくすと笑っていて、冗談というか戯言だと理解しているからいいけど。
「クーン」
「ろぼとぶらんかもいいこ?」
「ええ、いい子ですよ」
「わーい! いいこ! いちもろぼもぶらんかも、いいこ!」
そもそも悪い子なんていないと思うけどね。子供に善悪の区別など必要ない。まあ、そんなこと言う必要はないか。
すずとチェリーとロボとブランカと一緒に、嬉しそうに部屋の中を駆け回るお市ちゃんが微笑ましい。
「とのさま!」
「おてつだいにきました!」
そうしていると孤児院の子たちが年末のお手伝いに来てくれた。こりゃ、今日のおやつは子供たちが大騒ぎだなぁ。
エルたち大量のケーキ作り、大丈夫だろうか?
まあ、すでに妻たちが集まってきているから大丈夫だと思うけどね。
子供たち、年末にケーキ食べたこと思い出として残ってくれるといいな。クリスマスとは言えないけど、ちょっとしたサンタさん気分だ。
プレゼントでもあげたくなるね。