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イノシシ記念日

時間にして朝の4時過ぎ、お化けが出やすいとされる丑三つ時とやらの時間を過ぎてから寒気を覚え、目が覚めると母が枕元に立っていた... ...。
妙なニュアンスの書き方だが、母はまだ健在でピンピンしているので誤解だけは絶対(ぜったい)にしては欲しくない。

眠気眼で枕元にいる母に「え? なに? 今、何時よ?」と問いかけると母は食い気味に「今日! イノシシ見た!」と手に収まる光源体を顔面に近づけられた私は「うわっ!!! まぶしいいい!!!」と吸血鬼のように悲鳴を上げた。

自分で言うのも若干気が引けるが枕元にあるお洒落なライトの電源を入れ、明かりに目をならし、母が向けたスマホの画面を見ると真っ黒い背景に光る赤い二つの球が写っている。

私は母に「なにこれ?」と尋ねると朝の四時過ぎだというのに嬉々とした声で「イノシシ! イノシシ!」と言語を覚えて間もないモンスターのように『イノシシ』という単語を並べて発言を繰り返す。

「え? なに!? まさか、これ見せる為に俺を起こしたのか!?」と若干切れ気味で私が言うと「お母さんね! ここに嫁いできて初めてイノシシ見たの! それが嬉しくてね~! あと、イノシシの子供! あれ、何て言ったっけ!? ほら、タヌキみたいなやつ!」
「ウリボウだろ! 同じ山の幸と間違えるな!」と山の番人のようなツッコミを入れ、私は再び眠りについた。

それから、この日はイノシシ記念日と我が家で認定され、毎年晩御飯には石狩鍋を食べる事となっている。

p.s
工務店の話にレビュー頂き誠にありがとうございます。
応援コメントも毎回押してくれる方もいて、励みになっております。シャイなので感情豊かなお礼文章は書けませんので失礼かとおもいますが、これにて失礼いたします。

2件のコメント

  • こんばんは、おっぱな様

    本日は拙作『パンデミック~』に素敵なレビューをありがとうございました。

    かなりほのぼのとしちゃっている物語ですが、正直そのままでいいのか、或いはとんでも展開に持っていったほうがいいのか、未だに悩んでおります(見切り発車)。一話十秒もあれば流し読みできるので、たまに覗いてもらえればと思います。

    御作の『実家の公務店~』、タイトルに惹かれちゃいました。必ず拝読させて頂きますので、もう少々お待ちくださいませ~(⌒∇⌒)

    それでは今後ともよろしくお願い致します<m(__)m>
  • 「世界ピザ職人選手権で優勝した男の話」

    読みました。
    大爆笑でした。

    こういう笑い大好きです!
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