• エッセイ・ノンフィクション
  • SF

27時間TV

チラッとしか見ませんでしたが、今年は新しい面々がMCをやっていました。
そろそろ世代交代なのかな。

突然ですが、私が見た27時間TVで鮮明に記憶に残っている事を書きます。

8年くらい前の27時間TVだったかな... ...。(鮮明と言ってるのに冒頭からうろ覚え)
平成のぶしこぶしとかピースが深夜にやってたバラエティーが人気でゴールデンに進出をしますって時期にちょうど27時間TVのMCに彼等が選ばれていた。(千鳥とか天竺鼠もいた気がする)

しかし、今では中堅芸人になりつつある彼等も8年前はTVに出た当初で全国的にも知名度はあまりなかった。
中高生とか若い層には知れ渡っていたが、大人や老人には「誰こいつら?」のような状態。

ニコ動とかユーチューブの動画が人気でTV離れが始まった時期だった気もする。


視聴者である私も心配で彼らの様子を見守った。(本当に心配だったんだよ。のぶこぶ好きだったから。ほら。我が家の矢田部を意味なくド突くって事を吉村(ボケの方)が良くやっててそれで矢田部が何も喋れなくなっちゃってイジメみたいな空気になった時期だよ)

だが、いや、案の定、彼等は冒頭からダダ滑りしていた。
それは、素人目から見てもTV越しから見てもヤバイ状況だった。

でも、あれは、内容を企画した連中も悪いよ。
だって、どっかの田舎みたいな所に行ってさ。
生放送で若手達にドリフみたいな事やらせるんだもん。

しかも、一番悪いのは観客が完全においてけぼりを食らってる事。
だってさ、出演者の自己紹介もしなかったんだよ。

若者に人気だからって言って勘違いしちゃったんだろうね。
田舎の人には東京から来た若者数人が舞台上でギャーギャー喋っている風にしか見えなかったと思う。

出演者全員の名前を知っていた私でもそれは感じた。

と。
ここからが本題。

この27時間TV。
メインMCは若手の芸人達だったのだが、「若手芸人達だけだと不安だろう」と感じていた誰かの提案で、相談役みたいな立ち位置で「サンマさん」を画面に映らない所で待機させていたのだ。

そして、これが功を制した。

舞台上でてんやわんやの状態の若手の中にサンマさんが飛び入り参加し、観客たちの空気が変わった。
というよりも、みんながちゃんと同じ方向に目をやりだしたのだ。

サンマさんが先ずやりだした事は出演者の自己紹介。
そして、それに対して一人ずつ弄っていく。

始めは東京から来た知らない若手芸人という見え方をしていた彼等も「熟女好き」「元気な子」などと自己紹介をしていって彼らの内面や性格などが徐々に見えてきた。

それによって観客の緊張や敵意の視線も薄まり始めて。
出演者たちも段々と力が抜けて、舞台に立てているようにも見えた。

ちらほらと笑い声が聞こえるが、最初に空気を悪くしてしまったので盛り上がりに欠ける。

サンマさん投入によって最悪のシナリオは回避されたが、この企画の失敗という結末は変えられそうになかった。
これは27時間TVの冒頭。最初の企画。

どんな事象でもそうだが、最初つまづいてしまうとそれはズルズルと尾を引く。
勝負事でも何でも流れってやつは重要。

私もTVを見てて飽きてしまい、チャンネルを変えようとしたその時、サンマさんはある行動に出る。

___客いじり。

舞台を見に行ったりして、面白いのはこれがあるからと言っても過言でもない。
正に伝家の宝刀。

「おばちゃん、キレイやな~」

「え? 本当!?」

「その服」

これで、会場の空気が一気に変わった。

もう、どっかんどっかん笑いで溢れる。

小さな村のコミュニティみたいな所で中継をやっていたので、会場にいる人たちはみんな知り合いのようなもの。

「知ってる奴がいじられてる」

もう、これ以上に興味をそそる事柄はない。

そして、最初から壇上に立っていた若手芸人は完全においてけぼり。
舞台はサンマさんと観客のものになっていた。

ひょうきん族なんかはVTRでしか見た事はなかったが、昔のTVは殆ど生放送だったという事を何かで知っていた。
当然、先程のようにダダ滑りする空気だってあったのだろう。

そういう修羅場をサンマさんはいくつも打開してきたので、壇上に乱入した時も何パターンか考えていたと思う。

私はサンマさんに年の功というものを感じた。

恐らくこれで、企画は成功。
マイナスから完全にプラスに転じた。

だが、サンマさんはそれでは満足しなかった。

一通り、お客さんを弄って、何か物足りないと思っていたのだろうか。
サンマさんはずっと探していた。
この観客の中にいる星を。

そして、それは客いじりを始めて5分ほどして現れた。

それは、町の郵便屋の少し小太りの若者。

サンマさんは、集団の中から面白い人を探し出す事に本当に長けていると思う。
というか、おおぴらにみんな口には出さないが、うっすらと気付いているような事を見付けて、口に出す事が上手い。

案の定、郵便屋の小太りの若者は村の人気者であった。

「君こっちきなはれ。歳いくつ?」

「26です」

「26!? この腹で!?」

確かにこの若者は老けていた。
それは、村のみんなが気付いていた事だったのだろう。

文章では特に秀でて面白い内容という訳ではない。
だが、そのテンポと周りの空気に笑えてくる。

そして、あの独特の引き笑い。

サンマさんは絶対、あの引き笑いの使い所を考えて使っている。

出演者の話が盛り上がりに欠ける際に効果音のように使っているではないだろうか。

例えば、映画で爆発のシーンがあったとする。
火や人が飛ばされる映像だけでは物足りないので、大きな爆発音を混ぜ、音と映像でそのシーンを盛り上げる。

それに似ている気がする。

企画は無事に終了し、コーナーは次に移るが、サンマさんは続投。

最初の企画ではちょこちょこしか出る予定がなかったのに、結局、サンマさんは殆どのコーナーに出演。

むしろ、サンマさんがメインMCのような状態になっていた。

私はこの27時間TVをみて、サンマさんという人間を尊敬した。
あれだけ、その場その場に対応出来る力は凄い。

私の死ぬまでに会ってみたい人の一人でもある。

サンマさんに実際に会ったら、この文章で書いた事をそのまま伝えてみたいのと。
整合性を確かめてみたい。

ふう~。
興奮気味に文章をダーッと書いたので駄文散文になってしまい、申し訳ない。

誤植も多々あると思います。
友人にこの話をすると皆冷めた顔で「ふーん」と言います。

この27時間TVを覚えていて、私と同じ感覚になった方がいたら、一緒にお酒を飲みたいですなあ。







3件のコメント

  • わかります。
    なので、一緒にお酒を飲みましょう(笑)
    この散文ですら、あなたの文章がとても好きです。きちんと磨かれたら、もう素人では太刀打ちできなくなるんじゃないか?とすら思っています。
    私は残念ながら男なので、酔ってもあなたの魔剣は満たせませんが・・・。

    こういう場面、当然もっとレベルの低い笑いですが、関西では学校や仕事でどうにもならない空気になった時に、周りのお笑いスキルに助けられることがあって、泣きたくなるというか鳥肌立つほど感動します。
    笑いには一発でそれまでの空気を変える力があるのです。
    さんまさんの場合は、そんな学校で一番とか会社で一番とかの才能が集まった中で、三十年トップクラスのスキルなので、実際に常軌を逸しているレベルなのでしょうね。見ていて不安がない。
    また、さんまさんは決して、文化人気取らないところも、気高くて良いですね。
    間違いなく世間でお笑いのステータスを大きく上げた一人であるし、最も愛した一人でもあると思います。

    ちなみに、できれば、サンマさんはさんまさんと書いた方が魚っぽくならなくて良いですよ(笑)
  • 安里 夜様

    コメントいただき誠にありがとうございます。
    分かっていただける方がいるとは感激です!

    私は酔ったら逆に魔剣出なくなるタイプなので、大丈夫です(笑)

    さんまさん嫌いな方も当然いるとは思いますが、あのスキルは社会人として見習いたいですよね。

    確かにサンマさんって書くと魚っぽいですね(笑)
  • 私の大好きな文章たちが・・・。
    消してしまったのですか?なぜ?

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する