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最初は1枚のラフ画から…

数多ある作品があるので、作品どころか、この近況ノートさえ、一目に触れられる事もないかも知れませんが、作品の事について書いてみようと思います。元々、キャラクターで生まれ育った佐賀県の観光地や特産品を紹介したいという想いで、仕事を始めました。結果、私自身の力ではどうにもなりませんでしたが、紹介するアニメが複数放送されて、以前と比べてかなり認知されたのは確かです。素晴らしい事だとは思いますし、喜んで下さる方も沢山のいらっしいます。ただ、私が思い描いていた物とは少し違って、1部分の煌びやかな部分だけが更に光り輝き、それ以外の大部分を占めている、余り見せたくない暗部には蓋をされて隠されたままだという憤りに近い何かが私の中で燻り続けていました。
その燻りは実際に、私自身が目にし体験し、未だその渦中にいる超高齢化と過疎化社会。令和元年から毎年続く災害。コロナ禍や後継者不足によって崩壊し倒産していく弱小企業や、寂れていく商店街の姿です。他にも沢山ありますが、私もいつまで持ち堪えこたえて継続できるかは正直分かりません。変えようとしない、ただの努力不足と言われれば、確かにそれで終わってしまう事ですが、実際にそこに住んでいる者しか分からない、新しい思考を拒み、どう頑張っても抗えなくする昔からの慣習や古い思考が、少しでも時代に沿った物に変えようとする者を排除していきます。優秀で若い人は、さっさと諦めてそんな故郷を去り、高齢化と過疎化は更に加速する一方です。更に令和3年8月に2度目の豪雨災害を受けて、再び被災者、被災事業者になって、ようやく悟った事は自分は今まで何をやっできたんだろうという事でした。
自分は何をやりたかったんだろうと…。そんな悶々とした気持ちの中、ふと思い出したのが、1枚のラフ画でした。「おとぎ前線」という名前さえもなかった時の、今は祈里と名前がついたキャラクターのラフ画。当時、お手伝いをして下さっていたイラストレーターの方が何気に、物語とか何もないんですが、何気に浮かんだキャラクターでなので、良かったら何かに使って下さいと手渡された1枚のラフ画でした。6年前か7年前の事です。
そう言えば、ずっと、この子はイラストだけの存在でバーチャルアイドルという設定だけのまま、物語も魂さえも吹き込んでいないかったなと…。そして、もう1人、シュカというキャラクターも同様で1番古参で描いてもらったまま、名前と有明海の天女という設定だけのまま…。コロナ禍も収まるどころか新型変異種の発生が続き、そして、またいつ起こるか分からない災害で、私自身もいつどうなるか分からないなとも…。もし、そうなったら…。このイラストの子達は、ただのイラストという存在のまま、消えてしまうのかと考え始めました。そして、その考えは被災の復興作業をしている中で次第に私が万が一の時、せめて、誰か1人でも、この子達は存在していたという証を知ってもらいたいと思うように変わりました。
6年前か7年位前に最初に1枚のラフ画を受けとった自分の手で、この子達の存在した証だけでも残してあげたい。独りよがりな考えかも知れません。余計なお世話なのかも知れません。
ただ、可能な限り、出来る事なら綺麗な形でハッピーエンドを迎えさせる様に。1人でも多くの方に存在だけでも知ってもらえます様に、この子の名前の通りに"祈り"、この子の姉として新たに考えたキャラクターである"願い"を込めて、それが"叶え"られます様に。
いつか、誰か1人でも、この文を読んで下さる事を信じて。

2021年12月5日に、作者"かたしよ"より。読んで下さった方へ。

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