• 異世界ファンタジー

雨とハードロックとキーボード

雨が降っている。

こんな日は小説を書くにも、どうにも気分が乗らない。

連日の雨で部屋さえ曇っているかのような気分に陥る僕は、父の部屋から一枚のCDアルバムを取り出した。

The course of Lifeと題されたそれを、自身の部屋のプレーヤーに入れて、再生ボタンを押すとスピーカーは歌い始める。

それは灰色の部屋に、まるで彩りが与えられたよう。

雨の音が僅かに聞こえ、ハードロックが不思議と調和して僕を包む。

それらを、まるで指揮でもするかのような、軽快な指先は現在この文章を綴っている。

「君の側で見つけた、この素晴らしき日々よ」

と、孤独で怠惰な僕には似合わないなと思いながら歌詞を口ずさむが、しかし、僅かに勇気を与えてくれた。

今日は、そんな雨の日。

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