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最終電車の旅

 夜の色に塗りつぶされて
 僕はもう何も見えないでいるよ
 まぶたに浮かぶのは昔の景色
 もうどこにもない懐かしい景色

 いつから迷子になっていたんだろう
 ここには真実なんてひとかけらもなくて
 大きな蛇が大きな口を開けてみんな丸呑みにしている
 みんな平気な顔をして飲まれていくんだ

 大きな黄色い花が月光に濡れている
 最終電車に間に合った僕は真っ暗な景色を眺めてる
 この電車のお客さんの数はまばらだから
 安心して自由席に1人で座っているよ

 斜めに沈んでいくモノクロの世界は
 まるでそれが当たり前にように黙っている
 空の上では大きな魚が赤い炎を放ちながら泳いでいる
 それは毎日決まった時間を泳いでいる

 急いで走ってきたから握っていたのはオルゴール
 キリキリとネジを回して慰めのうたを流すよ
 もう会えない何人かの友達のために
 淋しいこの夜の風にこっそりそっと流すよ

 星達が法則を忘れて踊ってる
 僕はとてもそんな気分じゃないのに
 別の席では誰かが体をリズミカルに震わせている
 気が付くとそんな景色をずっと眺めてた

 電車の中は安全だから
 まるで全てが活動写真のようだね
 全て台本に書いてある通りなんだ
 さっき買ったパンフレットに目を通すよ

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