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春のそんなひととき

 昼の気配がゆっくりと侵食してくる
 静かにしていると風が荒ぶっている
 もう春なのだと急かしてくる
 光の意思に心を溶かして

 昔と同じ事は出来なくても
 今だから出来る事もある
 一本の糸で繋がっている
 これからもずっと

 窓を開けない午後
 世界を隔てる壁
 一本の線で繋がっている
 無機質なデジタルの信号

 時間は有無を言わさずに過ぎていく
 恐ろしい勢いで過ぎ去っていく
 決断は常に迫られている
 焦って頭の中が故障する

 一人の部屋の中で
 言葉探しの旅は続いていく
 何も起こらないから見つからない
 何もしないから沈んでいく

 自分を認めて選ぶ選択肢が
 いつだって後悔に結びつくとは限らないけれど
 それを知るために生きているんだ
 季節は容赦なく過ぎていく

 美しさを目指して
 無駄をなくす事を追求して
 言葉を研ぎ澄ませて
 まだ一文字も生み出せないまま

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