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目に見える景色と幻と

 風が笑っている
 記憶の中の自分が走っている
 電信柱の並ぶ道
 見上げればただ空は青くて

 透明な時間が季節の影に滲んでいる
 イメージの中の景色は純度を上げていく
 素直に笑えていたあの頃
 どこからか雨の音が聞こえる

 昔の映像のように
 音のない世界
 あの頃を何度も何度も繰り返す
 飽きもせずに何度も何度も

 海の景色
 誰もいない砂浜
 放置された飛び込み台
 閉じ込められた

 朽ちていく
 撤去されていく
 消えていく
 放置されていく

 誰かの企みで
 風になびくように
 世界は塗りつぶされて
 その中に

 取り残された記憶
 気まぐれの出会い
 冬は春を連れてくる
 だから

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