「さて、これからどうするか」
「いや帰るだけだろ」
「待て待て、まだ分かれ道が残ってるだろ?」
「お前、まさか全部見て回る気かよ?」
「は? お前こそもう戻るつもりなのかよ? このチャンスに」
「チャンスよりも命が大事だ!」
「じゃあ俺だけで行くわ。今までありがとな」
「待て待て! 分かったよ。付き合うよ」
「へへっ」
「気持ちわりー顔みせんな」
「それにしても本当不思議な場所だななここは」
「何百年経ってるのか分からないけど、そう言うのを感じさせないよな」
「実はもっと古かったりしてな」
「マッピング大丈夫か?」
「何だよ、信用してねーのか?」
「いや……」
「じゃあ教えてやるよ、ここの分岐で左の道はまだ未知だ」
「よし、行くか」
「なんか急に生臭い感じになった来たぞ」
「ヤバいな、これ何かいるぞ」
「よーし!」
「いや、敵もいない内から構えるのはえーよ。手に負えないやつだったらどうすんだ」
「攻撃は最大の防御じゃないか」
「逃げる時に武器をしまう手間が命取りになるかもだろ!」
「ふん、死ぬ時は前のめりだ」
「死ぬ前提で動くな! 死なせねーから!」
「!?」
「何かが……」
「余計な動きはするな、来るぞ!」
「うわあーっ!」
「くっ!」
「お前は逃げろーっ!」
「うおおおーっ!」
「何であいつが狙われたんだ……くそっ!」
「やっぱり1人で来るべきだった。でも俺1人で扉を開けられてたかな……」
「ようこそ主よ。500年ぶりに会えましたね」
「は?」
「貴方様はこの城の王なのです。お忘れかも知れませんが」
「ここが城だって? どう見ても朽ちた迷宮だ」
「こちらに貴方様の残された記録水晶がございます。力を取り戻しください」
「うわ、やめろーっ!」
「そうだ、扉は資格を持つものしか開けられない。俺の事じゃなかったんだ。だとしたら……」
「予想通りじゃねーか! モンスター共、死にたいやつからかかってこいやー!」
「ハァハァ……。伝説の王の間……実在してやがったか」
「おーい! まだ行きてっかー!」
「意外と早かったね……まぁ、来るとは思っていたさ」
「あのタコはどーした? お前がやったのか?」
「後ろだよ」
「なっ……」
「これが贄ですね。王が選んだだけあって活きが良い」
「おまっ、こいつに何をした!」
「王には記憶を取り戻して頂いただけの事……」
「記憶だぁ? ただの洗脳じゃねーか。元々の感情がねえだろ」
「元々の感情? 記憶を受け継げる器があればいいのですよ」
「んなろー!」
「ギャアアア!」
「お前、普通の人間ではないな!」
「ああ、違うね。お前らと同類だよーっ!」
「王よ、ご指示を!」
「ああ、許す。封印解除!」
「ふんぬー!」
「ぐあああっ!」
「お前も人を超えてはいるが、相手が悪かったな……」
「くく……」
「なんだ? 何がおかしい……」
「俺はてっきりここにお宝があるのだとばかり思ってたんだわ」
「あてが外れて残念だったな」
「ああ、だから相棒は返してもらう!」
「お前はここで死ぬのだ! 望みは叶わぬ!」
「舐めんじゃねえよ! 真理開放!」
「何ぃ!」
「あれ?」
「よう、気がついたか? 今日の冒険は終わりだ」
「何か記憶が飛んでんだけど、一体……」
「気にすんな。大したこたァねぇよ」
「でもアキラ、また無理したんじゃ……」
「だから大丈夫だ。責任感じてるなら明日も付き合え」
「分かった。でも次は無茶させないからな」