先ほど、雪の記憶 第四話「写真」を公開しましたが、最後があまりにも、分かりにくかったようです。
すでに、読まれた方が何人かおられるようなので、最後のシーンの加筆訂正部分を記します。
これまでの長く恐怖に満ちた人生はなんだったのだろうか……。
人違いていどのことで、どうにでもなることだったのか……。
脅え続け、あれこれと打った手は、すべて意味が無かったのか……。
怒りと恐怖と情けなさが入り混じった感情で、引きつった笑いが喉の奥からせり上がってくる。
六年前、オレはサークル仲間の村井と共にS岳に登った。
猛吹雪に遭遇し、山小屋に避難したオレたちは、シェラフに潜り込んで一晩を過ごすことになった。一晩分の食料は用意していた。翌日には、二人で下山するはずだった。
ところが深夜、あまりの寒さに目を覚ますと、どこからか現れた若い女が、眠っている村井に白い息を吹きかけていたのだ。
オレの見ている前で、村井は瞬く間に凍り付いてしまった。
オレは恐怖した。その女は、雪女だったのである。
村井から離れ、オレに近寄って来た雪女に、オレは命乞いをした。
すると、雪女は、オレを見下ろしながらこう言ったのだ。
「このことを誰にも話さないと約束するなら見逃してあげましょう。
ただし、誰かに話せば、その時はあなたの命をもらいます」
長い黒髪で、どこか儚げな雪女であった……。
荻原のスマホの画面に映っている長い黒髪の女性は、六年前のあの夜、山小屋でオレを見下ろしていた雪女だったのである……。
つまり、S岳で遭難事故を起こしたのは高橋です。
当然、当時は萩原(はぎわら)という苗字でした。
今、一緒にいるのは荻原(おぎわら)ね^^;
次の話で、種明かしをして終了です。
読んで???となっていた皆様、申し訳ないです^^;