とある学校に、「烏」と呼ばれている男学生がいた。いつも暗い雰囲気で、制服のないこの学校でいつも黒に塗れているという理由で。
いつも、どこか分からないとこを向いている烏は、それだけできみ悪がられた。何を見て、どういう人なのか分からなかったから。
ある日、烏はいつも通りに教室の隅にいた。そうしていたら、一人の男学生が近づいてきた。
「あの…えっと…は、初めましてっ!」
明らかに、緊張して動揺していた。教室で流される噂に尾鰭がついて、妙なことになっていったからだろうか。そんな自分に話しかけた学生を、烏は奇異に思って、問うた。
「なんで妙な噂がある自分に話しかけたのか。」
と。
男の子は答えた。
「どういう人なのかを知りたかったから」
と。
烏は彼を奇妙に思った。また、面白くも嬉しく思った。自分を知ろうとする人がいるとは思わなかったからだ。
かくして、二人の奇妙な交流が始まったのだった…