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<IF>悪役令嬢の奴隷商人ルートエンド

昨日の予告通り、近況じゃないけど、番外編をのせちゃいます。
本編の設定や年齢差はほとんど考えてません。
また、本編で出てきてない情報が一部あります。
ネタバレすると、奴隷商人は「ハッター」と悪役令嬢に呼ばれるようになります。
小話なので、ほぼ会話文です。





↓以下、小話




「と、言うわけで、公爵令嬢兼未来の国王妃の私が奴隷堕ちエンドを迎えたわけですが、ここまでいかがでしたか、ハッター」
「…思ったよりも落ち込んでいないようで驚きました」
「そこが私の強みというわけだな!わはは!」
「この状況で笑います…?」

 とんでもない馬鹿か、狂人を見るような目つきなハッターに私は余裕な笑みを口元に浮かべる。

「それでハッター、私をどこに連れていくのだ?娼館?オークション会場?成金の変態爺の屋敷?」
「そこまで現実を悲観した候補先を挙げ連ねておいて、笑えるお嬢様があっしには信じられないんですが」

 そういうと、ハッターは少し俯いた。
泣いているようにも見えるが、泣く状況ではないし、どちらかと言えば泣くのは私の方ではないか?

「あっしの家です」

 …おい、まさか私を住まわせるのが嫌で悲しんでいるのではなかろうな。
別に私が望んだことではないのに、まるで悪人になったかのような気分だ。
まあ、悪役令嬢ではあるのだから、悪人には違いないか!
それにしても、長年の癖はすぐには消えないのか、今では奴隷商人と奴隷の立場なのだから、敬語など話さず気を使わなくてものを、律儀な奴よ。

「お嬢様も…いえ、オクタヴィアもご存知の通り」
「名を消された私はオクタヴィアではない。アリスだ」
「…オレは閣下からもアリスのことを頼まれています」
「父上…」
「だから、これからはずっと一緒です」

 さらりとハッターは言った。
何もおかしなことじゃないはずなのに、私は何かがつっかかった。
俯くハッターをじっと見つめる。
泣いているようにも見えたのに、今は反転、笑いを堪えているように見えた。

 鬱蒼とした森の奥、馬車が止まる。
いつの間にか辿り着いた先には、ゴシック系ホラーの舞台になりそうな屋敷が静かに鎮座していた。
人間の気配すらない。
私たち二人を置いて、逃げるように馬車は森を後にする。

「ここがアリスの新居です」

 ガシャンと音を立てて、閉まる門を背後に振り返る。
もう生きているうちに、この門から外へは出れない予感がしていた。
ハッターは既にいつもの頼りなげな表情で、優しく私に微笑んでいた。








<一か月後の二人>

「お嬢様ぁ!」
「何だ、騒がしい」
「何だじゃないですよ!何をしているんですか!」
「準備体操だな」
「準備体操っ?!!」
「私は生まれたばかりの赤子か。?!つけるほどのことはしてないだろ」
「い、一体何のっ、何の準備なんですかぁ!」
「…ランニングだが」
「らららランニングゥ!!!」
「歌ってるみたいに驚くな」
「お嬢…アリスは元気すぎます!軟禁状態なのになんでそんなに元気ありあまってるんですか!昨日抱き潰せばよかった!」
「こやつさらりととんでもないことをほざきよって…仕方なかろう。運動しなければ筋肉が衰える。健康に悪いではないか」
「健康…ってそんなに大切ですかね…?」
「大切だ!そこは疑問に思うところではないぞ!」
「確かにアリスには長生きしてほしいですが。オレが死ぬまでは」
「死んだ後は?」
「後などないので」
「こ、こやつ…」


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