先日頂いたレモンのお菓子が大変美味しかったので、
思い出に少し文を残そうかと思います。
先ずはどのようなお菓子だったかを忘れない内に。
一口大のパイのカップに
レモンカードとヨーグルトクリームが
層になって入っている初夏にぴったりの爽やかな一品。
酸味と甘味のバランスがが絶妙で
バターたっぷりのパイ生地を軽やかに頂けるのも
嬉しい限りでございました。
昔からレモンを用いたお菓子には目がないのですが、
味そのものの美味しさは勿論のこと、
美しい詩を思い出すのもひとつの理由かもしれません。
題名でお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、
高村光太郎の「レモン哀歌」は
私の愛する詩の一つです。
この詩に出会うまでは
私にとって死の間際というのは
騒々しく生々しいものでごさいましたが、
トパアズいろの香気はその感覚を霧散させ、
美しく切実なものとして魅せてくれたのです。
レモンのお菓子を食べるとき、
私は死を思い、
死に生かされる己を思うのかもしれません。
いただきますとごちそうさまの間に
何往復もの命のやりとりがあることを
見つめ直す今日この頃でございました。