投入中の新作「天津陽高 神木船 波路道行」(あまつひだか かみきぶね なみじのみちゆき)。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860708306014主人公への死刑宣告>「七人の侍」的に七人の船員確保(平賀源内、鼠小僧次郎吉、東洲斎写楽含む)>謀略をかい潜りながらの船出と、物語が大きく動き出した。
ちょうどいいタイミングなので今回は、本作にまつわる執筆裏話を披露します。本作未見の方は、ぜひ本編もご一読下さい。
●漢語和語楽しい
現代小説は、純文学からエンタメ小説、ラノベ、Web小説まで、基本的には漢字表記を減らし平易なひらがな表記を増やす方向に移行しつつある。
当方ももちろんその方向で書いているわけだが、その反動でふと「どうしても漢字満載、漢語や和語満載の物語が書きたい」とこじらせた厨二病が噴出して書き始めたのが本作。
考えてみれば高校の古文漢文が大好きだったからなあw
●航海ネタの理由
というわけで漢字満載にできる江戸時代ファンタジーにしたわけだが、なぜ航海ネタにしたかというと、心のどこかに澁澤龍彦の「高丘親王航海記」があったから。歴史ファンタジー小説の超絶傑作(幻想小説と言ってもいいが)だから、挑んでみたい気持ちがあったのよ。
●冒険マネジメント
あと、本作を書き始めた頃の当方は色々な編集部を編集長として渡り歩いていた。能力も性格もまちまちな部下を束ね、マネジメントしつつ業績を作っていく、パズルのようなマネジャー業務にどっぷり浸かっていた。そういう楽しさを書きたかったのもある。主人公「天津陽高」の思考法や行動は、マネジャーとしての私そのもの。社畜の方々なら「あるある」と感情移入してもらえると思う。
●冒険と恋愛
理不尽な上司(宦官)に無理難題を押し付けられながら苦闘する主人公は、奴隷の少女とビターな恋愛関係を形作っていく。当方の基本的な社会認識として「人間は与えられた時代や状況の中で幸せを作っていくのが正しい」というのがある。事あると世間では世代間の優劣や損得を語り毀誉褒貶しがちだが、それは違うだろと。
奴隷少女「アサル」にしても主人公「天津陽高」にしても、自らが追い込まれた苦しい状況にへこたれず、前を向いて進むし、互いに惹かれ合いやがてかけがいのない絆を築いていく。それこそが輝ける人生って奴だろと。
「即死モブ転生」「異世界左遷」といった当方の他の作品も、基本的にはこのスタンス。なので書いていてとても楽しいですねー。