作中に出てきたのは第二次世界大戦時にナチス・ドイツが採用していた機械式暗号機、エニグマの魔法陣版ですね。
多表式換字暗号で、周期が非常にながく、当時としてはかなり強固だったようですが、欠点もあったようです。
反転ローターにより二つの文字を入れ替えるような回路になっているため、例えば文字列AAAAはNESIといったように何文字目かで置換される文字が異なるわけですが、決してA自身になることはない、という特徴があります。
これは、暗号文をそのまま投入すると平文に戻るという利便性とともに、暗号強度的には下がってしまう特徴を持つ。
対して作中のアランの暗号魔法陣は反転ローターの機構を省いているので、暗号化と複合化では逆順の操作をしなければならない。そのあたりの面倒くささは記述していませんが作りの単純さを優先しています。
作中の設定年代が1500年ぐらい。エニグマは1918年の発明ですから、400年は遡るわけで時代背景的には無敵の暗号機という気がしますね。