寝苦しい夜というものを感じなくなって久しく、被っている毛布は夏のベタつく感覚とは打って変わり、実に肌触りが良い。電気が消され暗闇と静寂に包まれているこの部屋の環境は、僕の眠気を誘うに十分である。
早寝早起きを強要されている僕の夜は早くに終わりを告げ、夢の中を迂回して朝へと繋がる。それがいつもの日常となっていた。
それが当たり前で、それが日常。僕がこの家を出て行くその時まで続くものだと、何の疑問も持たずにいたのだが、そんな日常が突如として終焉を迎える事となり、それは僕の人生をも大きく変えようとしていた。
その変化は、自室で眠っていた僕の髪の毛を引っ張り、僕の体を引きずり回している、父親の大きな怒号から始まる。
「てめぇ起きろっ!」
普段は温厚で、無口な父親だ。その父親が大声を上げ、僕の髪の毛を引っ張るなんて事は、まず有り得ない事である。そもそもが、僕に対して興味すらも持っていないように思えていた父親なのだ、触れられた事自体、実に久々な事。
それ故に、僕の頭は混乱しており、一体何が起こっているのか、理解が追いつかない。僕は痛む頭皮と髪の毛の緊張を緩めるため父親の腕に頭を近づけ、出来る限り抵抗をせず、四つん這いの状態で父親に連れられるままに、歩を進めた。
これ、面白いか? これ、若い子読むか?
読まないって絶対っ!
こんなん作家のエゴだよ。格好良く言い回してるだけ。句読点多いのは、それは、私のせいだけど……。
うーっ……やっぱなんか違う。凄く違う感じがする。
私が書きたいのは、もっと直接的で、だけど自分の色に染められた文章なんだよなー……。
悩みは尽きぬ……どうすればいいんだ、私は……。
多分今日も一話も書けない。
そもそも、誰に聞いても、誰もが私の知る「純文学」とは違う答えを述べ、その誰もが違う意見を言っているっ!
純文学って何っ!? なんなのだっ!!
ちょっと芸術っぽく書いたつもりだよ上の文章……純文じゃないのか……というか、ああいったように書くなら三人称がいいね。。思ったよ。
……じゃなくて、純文ってなんなんだーっ! 分からない! 何純文学って!
そもそも文学って何っ! 色々見失ってるよーっ!
なんか頭の中がテトリス。
お尻の穴から勢い良くジェットを噴射させて、大気圏を抜け、地球から脱出を試みよう。そして私は星座となり、雲ひとつ無い夜には皆の事を見守ろう。
嫌な事、悲しい事ががあり、心が荒み、切なく悲しい夜には、私の事を思い出して、そっと星空を眺めて欲しい。
そこにーわたしはーいませんーねむってなんかーいませんー。