夢を食う獏である凜が、人に化け人の世で暮らしながら、人の夢を買いとる物語です。
江戸時代の普通の人たちの、何気ない日常を書きたくて作ったお話です。
話の中で、夢を売った人たちは記憶までは失いません。
同じ夢をみなくなるだけです。
個人的見解ですが、夢というのは、心に巻き付く鎖のようなものだと思っています。
悪夢であれ良い夢であれ、潜在意識の中に意識的あるいは無意識にしまい込んだ感情や記憶の欠片。
願望、後悔、希望、辛い過去、叶わなかった望み、などなど。
夢で繰り返しみるのは、自分自身が心のどこかで拘っているからだろうと思います。
そういう心の鎖を解したり、こだわりを消したり。
凜が夢を買いとることで、その人の心が変化する。
良く変わるか、悪く変わるかは、本人次第。
そんな物語です。
また、江戸時代は「迷信」がない時代です。
落語の「死神」もそうですが、主人公は死神に会って驚くけれど否定はしません。
「へぇ、あんた死神なのかぃ」で、納得しちゃうのが江戸時代。
そこが現代と違って面白い所かなと思います。
都合の悪いことや不可思議なことは、すべて神隠しやら怪異で解決というか。
わかっていても言わない時代感というのもありますが。
不思議なことを不思議だな、と素直に受け入れる江戸時代が、私は好きです。
この先も少しずつ更新したいと思いますので、よろしかったらご一読くださいませ。
ちなみに、「萬事処あやし亭」に登場する凜さんは、このお話の凜さんです。
ゲスト出演していただきました。
「萬事処あやし亭」も、良かったら是非読んでみてください。
凜とはちょっと違う形で人に関わりながら生きる妖怪が、いっぱい出てきます。