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今年もありがとうございました&年末『目覚ロリ』ショートストーリー

 今年も残すところあと僅かとなりましたね。1年が早いこと早いこと……

 この1年も本当にありがとうございました。いつも読んで下さっている皆さまの存在が励みになっています。来年も皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。今度ともよろしくお願いいたします。

 それではよいお年をお迎えください。あ、あと以下はお年玉(?)代わりに書いた現在連載中の『目覚ロリ』年末ショートストーリーです。お暇な方はどうぞです。


 ◇ ◇ ◇


『大晦日の私と琴ちゃん』


「――いやはや。もう一年が終わっちゃうんだね。なんだか早いなぁ……」

 年末の大掃除も終わり(と言っても常日頃から綺麗好きの琴ちゃんが掃除してくれているし、大掃除自体も大半を琴ちゃんが終わらせたから私はほとんど何にもやっていないんだが……)年越しそばも食べてやる事も特になくなった私……音瀬小絃は、コタツに入り込んでぼけーっとテレビを見ながらそう呟く。

「そうだねお姉ちゃん。一年あっという間だったよね」
「わかる……気づけばもう年末とか早すぎでしょ。……あ、琴ちゃんお蜜柑食べる?」
「ん、食べたい」
「りょーかい。ちょいと待ってね…………よし。はい琴ちゃん、お口開けてね」
「はーい♡」

 食器を片付け終えた琴ちゃんもコタツに入り、二人肩を並べてぬくぬく開始。ぬくぬくついでにコタツに置かれた蜜柑を剥いて、琴ちゃんにあーん♡で食べさせてあげる。

「ね、琴ちゃん。琴ちゃんはこの一年どうだった?」
「私?…………ふふふ。どうもこうも。小絃お姉ちゃんが十年の時を経て目を覚ましてくれたんだよ?最高の一年だったに決まっているじゃない。まさか……こんな風にお姉ちゃんとまた一年について語れるようになるなんて……本当に夢みたいだよ」
「あ、あー……」

 なんとはなしにそんな事を聞いてしまい、ちょっぴり申し訳ない気持ちを琴ちゃんに抱く私。年末は琴ちゃんとこうやって一緒にコタツに入り込み、ダラダラしながら一年の出来事を語るのが二人の恒例行事だった。……私にとっては一年ぶり。けれど琴ちゃんにとっては……十年ぶりになるんだよね。
 十年は……どう考えても長いよなぁ……

「改めて……目を覚ますのが遅くなってごめんね琴ちゃん。寝ぼすけなお姉ちゃんで申し訳ない……」
「もう……またそれ?なんでいちいち謝るのお姉ちゃん。お姉ちゃんが悪いわけじゃないじゃない。寧ろ……十年をかけて私の元に戻ってきてくれて嬉しいよ。お姉ちゃんとこうしてお話出来るなんて幸せいっぱいだよ。目覚めてくれて……ありがとうお姉ちゃん」

 居たたまれなくなり頭を下げると琴ちゃんはギュッと私を抱きしめてくれる。ありがとうはこっちの台詞なんだよなぁ……こんなに優しくて良い子を待たせまくってしまった分、その十年分の寂しさをこれから先も楽しい思い出で埋めてあげなきゃね。

「そういうお姉ちゃんはこの一年どうだった?」
「私?そうだね、私は――」
「あ、『琴ちゃんと一緒』とかじゃダメだからね。それ以外でこの一年の感想を聞きたいなー」

 琴ちゃんと一緒でまた琴ちゃんに会えて嬉しかった――そう答えようとしたところで。イジワルそうな顔をした琴ちゃんがそんな事を言ってくる。むむ……先越されちゃったか……
 自分の中でこの一年を振り返りつつ考える。琴ちゃんと再会できた以外で印象に残っていることと言えば…………うん、そうだね。

「私に彼女が出来たことが、嬉しかったかな」
「…………ッ!!!」

 私も琴ちゃんのイジワルにお返ししてあげる。私のそんな一言に、琴ちゃんはピクッとなって……その直後、頬を染め零れる笑みを抑えながらこう聞いてくる。

「ふ、ふーん…………ね、ねっ!その彼女さんって……可愛いかな?」
「すっごい可愛いし、綺麗だよ」
「お姉ちゃんは……その彼女さんの事……すき?」
「大好きだし愛しているし、大人になったら結婚したいって思ってる」
「…………えへへー♪」

 べた褒めする私に。私の隣の可愛くて綺麗な彼女さんは、先ほど以上に私にぎゅーっと力強くハグしてくれる。そうやって私と琴ちゃんは、年が明けるまで……ううん。年が明けても甘い一時を二人で送り続けるのであった。

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