• 二次創作

『七不思議オーバータイム』で長門さんが言っていた「ジャム」について

 みなさんこんにちは。むーらんです。

 今回は『ザ・スニーカーLEGEND』の涼宮ハルヒシリーズ短編『七不思議オーバータイム』で長門有希が「……ジャム」といっていたことについてです。

 最初に『七不思議オーバータイム』を読んだときの予想としては、キョンのことをあだ名で呼ぼうとして直前で照れてしまって噛んだのかなと思っていましたが、どうも全然違ったぽいので…。

 というのも、この「ジャム」というものには元ネタがあり、『戦闘妖精・雪風』というSF小説らしいとはなんとなくネットで知りました。そのうちだれか解説してくれるかなと思ったのですが、せっかくだから自分で読んでやろうと思い、アマゾンの奥地へ…は行かず、自宅で大人しくネット通販で購入しました。

 SF小説を読むのは初めてのだったのですが、涼宮ハルヒの憂鬱を読むことができるのであれば難解すぎてよく分からないということはなさそうです。これはSF小説全般に言えることなのか、涼宮ハルヒの憂鬱が特殊なのかは私には判断できませんが、これからちょくちょくSF小説も読んでみようかなと思うくらいには面白かったです。(生粋のSF小説ファンの方には生意気言ってすみません!)

 さて、さっそく感想なのですが、『戦闘妖精・雪風』のネタバレに触れまくるので、ご自身で読んでみたいという方はここでしばらくお別れです。雪風を読み終わったらぜひここに戻ってきてください。

 ネタバレを気にしない方は、よければ読んでみてくださいね。









 『戦闘妖精・雪風』概要

 南極大陸に突如出現した超空間通路によって、地球への侵攻を開始した未知の異星体「ジャム」。反撃を開始した人類は、「通路」の彼方に存在する惑星フェアリイに実戦組織FAFを派遣した。戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに、孤独な戦いを続ける特殊戦の深井零。その任務は、味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情かつ冷徹なものだった―。


 完結に言えば、宇宙人が侵略してきたのでスーパーコンピュータを積んだ戦闘機などで反撃して、割と人類が優勢。雪風とはその戦闘機のうち、最高の技術と最高の武力を積みながら、情報収集のみを行う機体のことを指す。

 核心になるのは、未知の異星体「ジャム」が、闘争の相手を人類ではなくコンピュータと認識して攻撃してきており、またコンピュータも異星人「ジャム」の敵は我々コンピュータであると認識しているということ。つまり、どちらにとっても人類は無関係な存在ということが、この物語の核心。コンピュータが人類から学び、自己学習できるようになると、人類は不要になる。異星人「ジャム」からすれば、人類というよく分からない存在が、地球という惑星のコンピュータとの戦いの邪魔をしているということに徐々に気が付いていき、物語の終盤で対人用有機系兵器を開発する。

 その対人用有機系兵器というものが、身体を構成するアミノ酸がL型ではなくD型、つまり人類を分子レベルで鏡面反転した逆向きの、人間ではない、化け物…おめでとうございます。ようやくここで『七不思議オーバータイム』で長門さんがぼそっと言った「……ジャム」に話が繋がります。

 ここで『七不思議オーバータイム』のシーンを見てみると、北高の七不思議を考えるSOS団(ハルヒのぞく)は、鏡にまつわる怪談を検討しています。キョンに意見を求められた長門は、「鏡に映った人物は、身体を構成するアミノ酸がL型からD型になる 光学異性体」と回答。これに対し、古泉が「害を及ぼさない」とのたまい、七不思議に採用される。ここで長門さんが「……ジャム」と呟く。


 要するに、異星人「ジャム」というのは涼宮ハルヒの憂鬱でいう情報統合思念体のことです。対人用有機系兵器というのは対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース(長門有希や朝倉涼子など)をさします。

 つまり『鏡に映った人物は、身体を構成するアミノ酸がL型からD型になる』というのは、情報統合思念体がTFEI端末(人類に仇をなす存在)を送り込むぞ…


 という長門さんの冗談です。

 そう、これは長門さんなりの冗談です。

 というのも、『七不思議オーバータイム』の中で『鏡に映った人物は、身体を構成するアミノ酸がL型からD型になる』と言い始めたのが、他ならぬ長門さんだからです。SOS団を脅かすことを、長門さん自らアシストするようなことをするとは考えにくいですし、もしそういうことが起こっても、それこそ本人がそれを止めようとするでしょうから、わざわざ自分から火種を起こすとは思えません。


 あともう一つ。先ほど概要でさらっと流した『雪風』についてなのですが、『戦闘妖精・雪風』の本文には


「特殊船の戦隊機(雪風)は最前線で貪欲に情報を収集し、戦闘情報ファイルに記憶して帰投する。(中略)その任務をこなすために、哨戒機にも劣らぬ警戒レーダーを持ち、外部燃料タンクを抱き、自機と情報ファイルを守るための、ただそれだけが目的の、強力な火器を有する」

 とあり、どことなく終わらない8月で事態の打破よりも観察を優先させていた頃の長門有希を彷彿とさせるものがあります。長門さんの方はその後変わっていくのですが、雪風は違う方へと変化していきます。

 雪風の変化は人類から見ればなかなかあれな感じ(私が読んだのは『戦闘妖精・雪風』と『戦闘妖精・雪風<改>』のみですが、続編もあるそうです。読みたい)ですが、長門さんの変化は所属が情報統合思念体からSOS団になったことでだいぶ違うなと思います。


 という風に、長門さんの「……ジャム」という一言から未開拓だったSF小説に手を出すことになったのですが、涼宮ハルヒシリーズで鍛えられていたためか、思いのほか苦戦することなく読み進めることができました。(そもそも涼宮ハルヒがSFという解説が角川文庫に…やはり角川文庫版も買わねばならぬか)

 そういえば、随分前に『長門有希の100冊』のうち、半分くらい買うだけ買って積読していたりするので、これを機に読んでいきたいと思います。

 大変長くなりましたが、感想は以上です。お読みいただきありがとうございました。


 追記

『戦闘妖精・雪風』の『インディアン・サマー』に出てきたトマホーク・ジョン、古泉みが強くてヤバくなかったです?主人公の零とのやりとりがすごく古泉とキョンっぽさが強くてヤバかったです(語彙力)。

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