築城というスキルを持った現地主人公モノの異世界ファンタジーの試し書きです。
ご興味のある方はご覧下さい。
1100文字ちょっとです。
◆1話◆
「出て行け! オマエのような役立たずは、○○伯爵家には要らぬ!」
「父上! お待ち下さい!」
俺の目の前で、○○伯爵家当主であり、俺の父親である××が怒り狂っている。
怒り狂っている原因は俺のスキルだ。
俺はAという。
○○伯爵家の長男で、父の跡を継いで○○伯爵家を継ぐハズだった。
そう、昨日までは……。
俺は必死に父をなだめるが、父の怒りは収まらない。
終いには涙を流し始めた。
「爆炎の○○家といわれて来たのに……。跡継ぎに属性魔法がないとは……。ウウ……ご先祖様に申し訳が立たぬ……」
「父上、申し訳ありません……」
俺の家は、代々強力な魔法使いを輩出している。
特に火魔法が得意な当主が多く、王国内では爆炎の○○家と恐れられているのだ。
十五才の誕生日に神殿で成人の儀式を行うと自分の持つスキルが明らかになる。
成人の儀式で俺が授かったスキルは『築城』だった。
代々の当主が得意とした火魔法ではなかったのだ。
そのことに父○○は大いに落胆し、やり場のない怒りを抱えているのだ。
俺もガッカリしている。
父や祖父、ご先祖様たちが神から授かった火魔法スキルを得られなかったからだ。
だが、スキルは神様からの授かり物。
スキルを悪く言っては、神罰が下るかもしれない。
それに、俺のスキル『築城』は、悪くなさそうなスキルなのだ。
スキルよ出て来いと念じると、俺の目の前に透明な板が現れた。
透明な板には、スキルとスキルの説明が、美麗な文字で書いてある。
【スキル築城 レベル1】
『城塞都市を造れる。レベルが上がると様々な施設が作れるようになる』
将来俺が伯爵家の当主となったらい、この築城スキルを使って領地を発展させられるのではないか?
俺は再度父を説得しようと試みた。
「ですが、父上! 私のスキル『築城』も悪くないと思うのです!」
「何を言うか! そのようなスキルで、どうやって敵を倒すのだ! ああ、Aのスキルが、四大属性魔法であれば……」
そんなことを言われても……。
俺は父の嘆きに申し訳ない気持ちと同時に、怒りを感じた。
スキルは神からの授かり物で、自分で選べない。
俺には、どうしようもないのだ。
俺の住むZ王国は魔物が多い。
また、小国や都市国家が乱立していて、他国から攻め込まれることもちょくちょくある。
だから、攻撃に関わるスキル、特に属性魔法のスキルが重視されるのだ。
火、水、風、土の四大魔法や聖、光、闇、雷、氷などの希少な属性魔法が優秀とされる。
だが、俺のスキルは『築城』……。
俺は悪くないスキルだと思うのだが、父は納得してくれない。
「Aよ! オマエを廃嫡し、○○伯爵家から追放する!」
「父上! お考え直し下さい!」
「もう、オマエとは父と子ではない! 出て行け!」
こうして俺は、○○伯爵家から追放されてしまった。