いわゆるあとがきのようなやつです。
20日ほどの期間でしたが、楽しくやらせてもらいました。
●全体的に
2000字前後、3000字以内という超短編レギュレーションでしたが、私としては、これくらいがちょうどいい感じでした。
ネタひとつ用意して、無駄なく肉付けして起承転結つければ、自然に2000字前後になる。オーバーしたから削れ削れ、ということはほとんどありませんでした。
まあ私は叙事派といいますか、出来事があってそれに対して人物が何をして、結果どうなった、という話を書くので、「無駄なく肉付け」がやりやすいんですけれども。
出来事に対して人物がどう思ったかを書く叙情派の作品は、私のような叙事派の考えでは無駄といえてしまう部分こそ肝要でしょうから、また違うかもしれません。
それゆえに、私の書くものは、今風に言えば、エモくない、といったらいいんですかね。ドライなところが出てしまうんだろう、という自覚はあります。
●読む方
読む方としても、これくらい短いと合間を見て読めるので、気楽でよかった。
しかし本数が膨大だったもので、最後の数日はちょっと追いかけきれなくなっちゃったな。けものフレンズのパワに負けてしまった……。
https://kakuyomu.jp/users/mubouan/reviews 私はこれより前にはカクヨムはほとんど使ってなかったので、良いと思って★を付けたものは、今のところほとんどコンテスト関係です。
●各作品について
○この空を飛べたら
加藤登紀子の名曲からタイトルを頂きました。ファンなんです。
トキが歌うキャラになっていたのは、やはり加藤登紀子のアダ名が「おトキさん」だからですよね、きっと。
せめてトキが翼を羽ばたかせて飛んでいれば、また別の話になってたんですけどね。
体重を40kgだと仮定して、翼の面積から必要な羽ばたき速度を計算するとマッハ8になるから、トキは周囲を衝撃波の連射で破壊し尽くしながら飛ぶ、とかそういうネタに。
私は「空想科学読本」の最初の一冊をリアルタイムに読んだ世代なのです。
○すもう
三月場所、稀勢の里関の素晴らしい優勝から生まれた一作でした。けものフレンズ最終回と大相撲三月場所優勝決定戦、どっちが泣けるかは甲乙つけがたい。
ところでカバは、コトバウアーからのがぶり寄りで、琴奨菊関をイメージしてみました。琴奨菊関ってちょっと(動物の)カバっぽい気がして。優しそうな顔だけど実はパワフルで強い。
○かいきにっしょく
天文学と天照大神の神話をベースにした、非常に知的に高度な作品なのです。我々は賢いので。(冗談です)
かばんちゃんは「何か思いつく」キャラであって、「何でも知っている」というキャラではないですね。だから、日食の知識を持っているとしたのは逸脱です。
わかっちゃいたんですけど、尺に負けてズルをしてしまった。
○アイスティ
ぽんこつキャラをいじり倒すネタというのは、面白いんですが、笑いに黒っぽさが入ってしまう。けものフレンズの無邪気過ぎる優しい世界観とは、うまくマッチしないところがあります。
ギャグとしては、もっとアライさんに恥をかかせて泣かせるべき。しかしけものフレンズ的にNGだし、フェネックもそこまでやらない感じがあって。さじ加減難しい。今回はだいぶ安全側でした。
それから、アルパカの栃木弁が困った。
私は大阪語ネイティヴなので、関東の人が使う変な大阪弁には容赦なく突っ込むのですが、逆はむずかしかった。今後大阪弁警察はやらないようにしよう……
○こはんで下り最速のフレンズ
これを公開した日の深夜に、12.1話「ばすてき」が公開されるなんて。
とはいえ、タイトル付けはこれが一番うまく決まりましたね。内容的にも私はこれが一番好きでした。
アニメでは、我々が「カレー」と認識しているものに、ずっと「料理」という呼び名しか使っていないような、そういう細かな言葉遣いの妙があります。
ビーバー作の乗り物についても、プレーリードッグはバスしか知らないから「バス」と呼んでしまう、ビーバーは作った本人だから違いをわかって「乗り物」とより適切な一般名詞を充てる、としてみました。
○飯テロ
私の出身地であるきんきちほーでは、疳の虫には「樋屋奇應丸」なのですが、関東では「宇津救命丸」というものを飲むそうです。あのくすりの名前がパロディだとわかるのは関西人。
缶詰の賞味期限って3年くらいのが多いですが、未開封ならもっと長く持つそうです。ジャパリパークで発掘されたものも、食べられると思います。
ただ、シュールストレミングは「缶の中で発酵が続く」という代物なので、製造後二ヶ月ぐらいが食べごろらしく、また古くなると食べられなくなります。
よって、製造時期不明のシュールストレミングを食べるのは危険です。真似しないようにしてください。はい社会的責任を果たしたぞ。
たくあん缶は、好きな人は知ってる話ですが、自衛隊に供給されているものです。戦闘糧食Ⅰ型のひとつですね。
自衛隊向けは、缶切りがないと開かないようになってるんですよね。だからツチノコが苦戦します。
しかし後で気付いたんですけど、自衛隊の缶詰なら外観描写が間違ってましたね。側面も天面底面もオリーブドラブ塗装で、フチのとこだけ銀色の金属地肌が見えてます。黄色く光ったりしない。
こういう確認はちゃんとしないといかんですなあ。マニアネタ使うなら特に。
○しょほのよみかき
最初は名前ネタで、落語の「平林」みたいなものを考えていたんですが、だんだん変形してこの形に。
これだけ珍しく3000字を超えちゃって、一部ネタを削りました。
その名残が、博士が開くのが「学校」じゃなくて「私塾」になってることです。
「がっこう」を作るのには、色々条件を満たして「しがくしんぎかい」に認可をもらったり、「おおさかふちじ」にはしごに上げてもらったり、「やくにん」に「そんたく」してもらったりしなくちゃいけないのですが、ジャパリパークに私学審議会も大阪府知事も役人もいないので、学校は開校できません。よって私塾です。