みなさまお久しぶりです。御坂稜星です。
直近の近況ノート(
https://kakuyomu.jp/users/msakarsay2236/news/16818093094246607036)で宣言した通り、年内にまさしく苦心惨憺の末新作を放流できました。実に5年ぶりの新作……!
や、ゆうても5年間ずっと何も書いていなかったわけじゃないんです。
二次創作なら2年前にpixivに1本投げているんですけど……一次創作に関しては、まあ遅筆と凡人の心移りここに極まるといった感じでしょうか……。
話を戻して、本作はカクヨムの自主企画(〜2024年4月30日)に出すつもりが期限切れで間に合わなかった短編を投げ出さず書き上げた新作書き下ろしになります。
本編のあらすじ内にもありますが、自主企画「(まだ)存在しない物語の後日談または番外編」ですね。
企画自体は同企画に作品を出していた相互フォロー作家さん経由で知ったのですが、時すでに4月29日。
爆速でプロットを考えてキーボードを打ち始めたのが翌30日。
――えぇ、書いてみようと思い立ったはいいものの、遅筆の私が締め切りに間に合うはずもなく、作品募集期間は終了してしまいました……無念。
企画主様は残念ながらすでに退会されてしまっているのですが、企画内容をかいつまむと
・まだ書かれていない、または現時点で未公開の物語の後日談もしくは番外編
・読者がすでにその物語の本編を読んでいることを想定して書かれたものであること
・1000文字〜1万文字以内
こんな感じです(細則は参加受付自体が終了してしまっているので省略)。
今作においては本文で名前しか出てこないルーカスの話が本編、「一方その頃実兄ダニエルは〜」なのが番外編(デイジーの依頼で色々災難に遭う)、そして番外編の後日談が続くという体です。
自らの企画を「要は読み終わったあとに、あ〜〜本編読みたい〜〜ってなったらあなたの勝ちです(勝ちとは)」と表する企画主さんのユーモアにはクスッとしてしまいましたが、穏やか極まりない日中の公園で協力者と匂わせ会話をしたり物品を受け取ったりするのはわりとよくあるシチュエーションなのに、いざ自分でイチから書くののなんと大変な事か……! 文字数もどうしても今以上削れなくて、結局1000文字近くオーバーしてしまったし……!
とはいえ今回の短編はただ書き上げるだけでなく、2022年くらいから突然小説の書き方がわからなくなってしまった、かつ長め(1万文字)の作品自体久々という事で執筆そのもののリハビリ的側面が多分にあります。
実際我が事ながら公開済みの2本とは少々文章の印象が違うなと感じるところもありますし。
もっとも今回はわざと海外(翻訳)小説に文体を寄せていたりするんですけど、公開済み作品のそれとどちらがいいかはともかく。
というのもプロットを練る段階で軍事冒険小説では言わずと知れたトム・クランシー御大を意識していたからなんですね。
今回は後日談なのでストーリー展開はさほど遠大ではありませんが、共通の世界観の中、世界を巻き込むダイナミックな時流に飛び込んだり巻き込まれたりした数人の登場人物が活躍する姿を描きつつ、時にそれに比べれば個々人の抱える本当に小さな問題が同時進行していくみたいな物語構造ってやっぱり憧れるじゃないですか。所謂「◯◯サーガ」ってやつです。
そしてこれはどの作品にも共通している事ですが、新しい作品を書く時は毎回何かしら新しい挑戦をする事にしています。
今作では訓練も兼ねて女性の描写に力を入れてみました。過去作2本では登場すらしませんし、書きかけで終わっている作品でもあまり出てこないので。
またギャグとはいかないまでもシリアスとコミカルのメリハリをつける事を意識しました(様子のおかしいガーデンセットの描写、燃えた自宅や四輪はどちらもプロットにはなかった)。
ま、それとは別にさくっと書いてさらっと読める習作的なものにするつもりが、段々愛着が沸いてきてしまったもんだから各部を詰めてブラッシュアップしたくなり、結局公開まで時間がかかってしまったって話もあるんですがー。これはほんと生みの苦しみすぎる。
加えて今回は本文の内容と直接関係はありませんが、いつもと執筆方法も変えてみました。
とりあえず終わりまで全体をざっくり書き終えてから細部を詰めるという流れでやってみましたが、これだと時間が経つにつれて各場面に入れたかったネタを忘れてしまうので、率直に言っていつもの「ひとまずその時々の納得いくまで書く(直す)」ほうがストレスが少ないかもしれないと感じました。すでに出来上がっている場面にあとからネタなりなんなりを入れるのって本当に負荷がかかるんですよね(単純にこのメソッドの経験値が少ないからという可能性もあるにはあるが)。
また、続きを書く際も「直近に書いたところの修正から始める」を今回はやらずに、それはそれとしてとにかく完結させるのを第一義にしたんですが、誤字脱字や用法間違いが出るわ出るわ……。
原稿に向かうたびそういった技術的な未熟さもさる事ながら、たとえ初稿でも完成度の低い作品をほぼほぼ無修正のまま書き切らなきゃならないというプレッシャーに、特に心情描写が連続するシーンではひたすらイライラさせられました。
不得手な描写に苦労しているところに慣れない重圧とくれば、これはもう火に油状態以外の何物でもなかったわけで。
そしてそんな負の感情を抱えたまま書こうとしても進捗がよくなるはずもなく……どこに納得の基準を置くのかは人それぞれですが、往時を省みるに恐らく性格的に向いていないのだろうなという事実を嫌というほど実感させられましたね。
まあともかく、それ故書くのが嫌になっていた時期もあったのでこの執筆方法は今回きりにするつもりです。
完結させるのはもちろん大事なんですが、作者自身も楽しく書けないとやはり続かないですから。そういう意味ではいい経験になりました、あまり気持ちのいい時間ではなかったですけれど。
そんなこんな経過は色々ありましたが、『影なき者たち』はお楽しみいただけましたでしょうか。
作者自身は上記の通り感情の整理がつかなくて執筆から遠ざかっていた時期もあったのですが、それを抜きにすれば概ね楽しんで書けました。ハリウッド映画ばりにそれぞれ事情がある男女が組んで困難や自身の利益のために動くお話はやはり書き甲斐があります、心情描写がすんごく大変だったけど。
今後の活動方針としては、ご多分に漏れず私も過去に途中まで書いてそのまま放置した作品が長短問わずたくさんあるので、それらを完結させて載せる(あるいは公募に挑戦する)という方向性でいこうと考えています。
そういう意味では厳密には新作ではないのですが、未公開のものが大半なので(一部はその時々の身内に見せているが)掲載できた際には新作と言ってしまっていいかなと。
やる事今までとさして変わらんやんけ! という指摘もあるとは予想しますがそこはご容赦ください(笑
最後に新しい試みとして、今作からあとがきとは別に映画やアニメのメイキングに相当するもの――登場人物に関するあれこれ、執筆裏話などを限定近況ノートとして公開する事にしました。
『影なき者たち』設定資料集
https://kakuyomu.jp/users/msakarsay2236/news/16818792440633423963 もっと深く物語に触れたい、入り込みたい方はぜひサポーターになってみてください。
読者の方だけでなく、あるいは書き手の方の創作の一助になれれば幸いです(同業他者が諸々どうしているのか知りたいのは書き手あるある)。
末筆になりましたが、前作公開から5年間ずっとファンでいて下さったフォロワーさんには本当に感謝しかありません。
これからもどうぞ末長くお付き合いいただければ幸いです。
二〇二五年九月十五日