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果てるまで『果てしない物語』

バックホーンの『果てしない物語』の話。

何時もの様に目覚ましが頭を叩いて、朝を憂鬱にさせる。何時もより遅い時計の針が寝惚けた頭に突き刺さる。冷や汗で冴えた思考で理由を思い出す。今日は何時もより遅くて大丈夫なんだって。

歯磨きしながら目の前の男の様子を伺う。そこそこ疲れたまぁまぁ酷い顔をしている。でも、多分、そんなのは気のせいだ。何時も見たいにネクタイを結びながら、昔の自分を思い返していた。今みたいな毎日が欲しかった毎日なんだっけ、考えても対して思い出せやしないはずだ。始めから大した夢なんか持って無いんだ。無駄に感傷的になりたい気分だった。きっと何時もの朝より余裕がある性だった。

自分の席からアイツとアイツの親友をゆっくり交互に眺めていた。アイツの親友は泣きながら思い出話をしていた。ふと考え込んでしまう。俺の思い出のせいで泣いてくれる人がいるのかとか、誰の為になら俺は泣いてあげらるのかとか。アイツの親友とアイツの友達と喫煙所でアイツの話をした。実際こういう時にどんな話をすれば良いかなんて、まだまだ誰も分かんなかった。

昨日までずっと『果てしない物語』の中で、つまんない1日を積み上げてると思っていた。いや、心の中で多分今もまだ『果てしない物語』が続くと思ってるかもしれない。アイツはどうだったんだろう。アイツは今日も物語の中にいると思ってたのか。アイツには夢とかあったのかもしれない。だから、皆泣いていたんだろうか。まだ明るい帰り道で、親父に借りたスーツが不自然な程真っ黒だった。今度、自分で買いに行こう。まだまだ必要ないと思ってた、いや、必要なんて考えたことなかった。

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