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少女Xに言葉を認識されました。

甘党さんの変数少女
https://kakuyomu.jp/works/16816927859392161736

クラスター感染のことをクラスターという人が許せないという感情と、今まさに言語の変遷が行われているという認識の間で、苦悩しています。嘘ですが。

甘党さんの作中世界は異世界ファンタジーという分類になるんだろうけど、ファンタジーの部分にはある種システマティックなものを感じる。その最たる部分が少女の行う神託の儀である。儀式に用いる祭文、触媒となる水晶、祭文を唱える少女、そして下らされる神託、これらは1つのシステムとして成り立っている。作品を読んだ時にイメージしたのは、プログラムとして書かれた祭文を少女が唱え、水晶というインタプリタが機械語に変遷しシステムが実行される世界である。この時、少女は入力のインターフェースであると同時に、音声認識の鍵となる存在だと考えられる。作中の協会が何度も儀式を行っていたのは、プログラミングの練習と考えられる。その上で、考察すべき重要な部分が存在している。それが儀式を行う度にリセットされる少女の記憶である。メタ的に言えば話の流れ上必要だからとなるかもしれないが、あくまでシステムの一部として必要な機能と考えるとどうなるだろう。恐らくだが、少女に儀式の記憶が残ってしまうと、システムが崩壊する危険があるのかも知れない。もっとピンポイントに言えば儀式に使った祭文の記憶をリセットする必要があると考えられる。
ここで最初の無駄話に戻るが、言語とは変遷するものである。ある程度成熟した文明の言語は厳格化される傾向がり、特定の身分でしか使え無い言葉や言い回しが形成されると個人的には考えている。そして、時代の変遷や知識の拡散で言語の平易化が起こる。クラスター感染が正しい言語だとしても一般的にクラスターで通じるならそれで充分なのである。
作品の考察に戻ると、システムが出来上がった当時の厳格化された言語が、時代の変遷とともに死語となってしまうとシステムは崩壊してしまう。なので儀式を繰り返す度に記憶をリセットすることで、神託の正確性を維持出来ると考えられる。作中では、あいも変わらず堅苦しい祭文で実験的な試行が行われていたが、それもそのはずで実行ボタンを押すたびにプログラミング言語のバージョンが上がっている何て気付ける訳が無い。恐らく最後はスクリプト言語状態にまで至っていたと感じるが、長くなってきたのでここらでお開き。

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