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年若い読者さまへ。〜愛とは素晴らしいもの〜

 雲雨乃夢《うんうのゆめ》。男女の情交を、拙作ではそう言いあらわします。

 中国、楚《そ》の懐王《かいおう》が、昼寝の夢のなかで、巫山の神女と情を交わし、別れ際、神女が、
「私は、朝には朝雲となり、暮れには行雨となり、朝な夕な、あなたのそばにおりましょう。」
 と言い残していった故事にちなみます。

 拙作では、雲雨乃夢に踏み込んだ描写があります。

 願いがあります。

 年若い読者さま。

 正しく、雲雨乃夢を知ってください。

 今(というよりかなり前から)、無理やりとか、暴力的な雲雨乃夢の描写が、ちまたにはあふれています。

 なぜでしょうか?

 刺激的だからです。読者(もしくは視聴者)が、

「むっはー!」

 と鼻の穴を広げて目をギンギンにさせて見てくれるからです。
 売れるからです。
 私は、それを否定はしません。
 雲雨乃夢というのは、とても幅が広いもの、奥深いものだからです。

 男というのは、原始時代、群れてマンモスを狩っていた性であり、自分より大きな獣に立ち向かえる逞しさと雄々しさを持っている性であり、時に女は、その雄々しさを向けられて、受け入れてしまう事ができる性だからです。
 しかし、それはあくまで嗜好のひとつ。
 それが全てではないのです。

 だってさ。現代人男性に、
「斧持って、素手で熊、狩ってこいや」
 と言って、
「うおおおお! 燃える! アドレナリンどばどばだぜ!」
 と返事する男は、どれくらいいるでしょうか?

 少なくとも、私のまわりに、そんな男性はいません。

 それと同じくらい、暴力的にやられて喜ぶ女、というのは、一部だけなのです。
 いくら、男が気持ち良くさせてやっても、……これがね、触られれば女は濡れるようにできてるから、それで勘違いしてほしくないんだけど、気持ちが、心が閉じていて、いくら肌を重ねても、真に気持ち良くなることはありません。

 無理やりは、恐怖です。
 殺される! と同質の恐怖です。
 それなのに、売れるから、というのが理由で、無理やりな雲雨乃夢の描写がちまたにあふれてるのです。

 それは、雲雨乃夢の、ほんの一面です。
 メインではありません。
 本来の雲雨乃夢というのは、もっとお互いを尊重しあい、優しく、愛をたしかめあう行為です。
 それが正しい姿です。

 拙作のなかの男女は、雲雨乃夢を行うとき、必ず、赤ちゃんが産まれることを念頭に置いて、行為にのぞんでいます。

 現代人も、ごむがあるからって安心してはいけません。
 一回でも雲雨乃夢を行えば、赤ちゃんができる可能性があります。
 ごむをつける前に、じわっと精がでてる、終わったらごむが外れてしまってた、などの予期せぬ事があるからです。
 女性の、今は妊娠するタイミングじゃないから、を信用してもいけません。
 女性の生理はタイミングがずれる事があります。つまり、排卵も。




 目の前にいる人の、子どもを産んでも良い。

 そう思えるくらい、愛する人と、雲雨乃夢にのぞんでください。




 また、男性は、女性に、お口での行為を強要してもいけません。
 女性には、抵抗が強いものです。
 女は喜んでくわえる……、そんなのは、かなり経験がある女に限ります。
(パートナーが喜んでくれるのを、自然と、自分の喜びと思えるくらい、何年も経験を積んだ女)
 あなたのパートナーが嫌がったら、無理強いはいけません。
 あなただって、いきなり、誰か男性の「もの」を口にいれなさい、って言われたら、おえってなるでしょ?
 女だって、大差ないんですよ。

 そして、女性は、あなたの目の前にいる男性が、生涯たった一人のパートナーで、浮気の心配がなく、とことん尽くしてあげたい男性であるなら、大胆に奉仕してあげましょう。
 男性にとって、口での奉仕は特別なものであるらしいです。
 女性は、雲雨乃夢の最中は、全身で強い快楽を味わいます。
 男性は、女性に比べて、その快楽度合いは、弱いらしいんです。
 口での奉仕は、その快楽を存分に味わえる行為らしいです。
 でも、無理はしなくて良いですよ。
 女性なら誰でもできる行為ではありません。抵抗がある人は、とことん抵抗がある行為です。
 それが普通です。
 パートナーに、正直にその思いを伝えましょう。

 雲雨乃夢の前には、身体をボディソープで念入りに洗いましょう。
 清潔で、快適なベッドで行為を行いましょう。
 手は必ず洗い、爪も切っておきましょう。
 清潔第一です。

 男性は、精を女性の身体や顔にかけたりしてはいけませんよ。えっちなビデオではある表現のようですが、絶対、ノーです。



 私は、広く世の中に訴えたい。

 情交とは、正しく、情を交わす。

 心が大事なのです!!



 年若い読者さまには、正しい雲雨乃夢を、愛の素晴らしさを知ってほしいと願って。

 大人の読者さまには、愛する人が今、いないなら、恋をしてほしい。
 パートナーがいるなら、パートナーと愛を深めたくなるような、そんな気分になってほしい。
 愛の素晴らしさを隣において、人生を歩んでほしい、そのように願って、雲雨乃夢のシーンを書いています。



 もし、実際に、15、16歳の読者さまが、目の前にいて、

「あなたの書いた物語を読んでみたいです。」

 と言われたら、私はにっこり笑って、

「はい、どうぞ! 愛とは素晴らしいものですよ。」

 とこたえます。
 


 それが、私の、あーるじゅうごの覚悟です。


(でも「蘭契ニ光ヲ和グ」は野卑な女がでてくるので、「あらたまの恋 ぬばたまの夢」か、「恋や明かさむ」をチョイスする。)

 イラストは、幸せになった古志加と三虎。


 あ、コメントは、「年若い読者さまに配慮のあるお言葉」でお願いします。

 これは、年若い読者さまにむけた近況ノートですので。



※本日公開した、「初めての方へ読み方ガイド」第三話と同内容となります。近況ノートは、時間がたつと埋もれていってしまうので……。

16件のコメント

  • 『情交とは、正しく、情を交わす。』
    本当にその通りだと思います。
    覚悟を以て描かれた物語は美しい、そう改めて感じました。
  • あーるじゅうご、奥が深いですね。
    雲雨乃夢(うんうのゆめ)のように素敵な愛のあるといいですね。(=^x^=)
  • 加須 千花様の作品はそのへんすごく拘って描かれてますよね。

    こういう、『他人にとってはどうでもいいことだけど、本人にとっては大切』みたいな思想的な拘りって作品の足かせになったりすることもあるんですが、むしろ作品内で武器として昇華させてらっしゃるという感想です。

    というのは、人と人との心の交わりというのが常に作品内で主題として扱われていて、そのクライマックスの演出として《雲雨乃夢》が使われているからですね。

    愛情を演出するのにこれ以上わかりやすいツールはないっていうくらい王道ラブシーンなわけですが、それゆえに強く印象に残ります。

    しかもただ行為を描写するだけではなく、行為の最中にキャラクターの、らしさ、が全開になるっていう仕掛けが面白いところです。

    まさに互いのありのまま全てをさらけ出す、魂を裸にしたぶつかり合い、とでもいえばいいのか。

    そしてありのままをさらけ出した二人が、互いの全てを受け容れるから感動が生まれる。

    加須 千花様の描く《雲雨乃夢》は私にとってそんなイメージですね。
  • きんくま様

    『情交とは、正しく、情を交わす。』
    この言葉に共感くださり、ありがとうございます。
    本当に、これは、世の中に広く、言いたいです。

    「覚悟を以て描かれた物語は美しい」そう言ってもらえて、嬉しいです♫
  • 猫野 尻尾さま

    男も、女も、こまやかで、ハッピーで、素敵な恋愛ができると良いです。(≧∇≦)b
  • 菅野 事案さま

    公開後間もなく、長文でコメント投稿、ありがとうございます!

    「行為の最中にキャラクターの、らしさ、が全開」
    「まさに互いのありのまま全てをさらけ出す、魂を裸にしたぶつかり合い」
    「ありのままをさらけ出した二人が、互いの全てを受け容れるから感動が生まれる。」
    うふふ、その通りです。
    それを、キャラたちが気持ちよさのなかで能動的に行なっているのがポイントです。
    菅野 事案さまにはまるっとお見通し! ですね。
  • いいなあ。正しくも何もない。ジャスト70は。笑笑
  • クライングフリーマンさま

    カクヨムは、幅広い年代と交流できるのも魅力ですよね。
  • 加須千花さま

    とても具体的な内容や考え方までさすがでございます。

    私も同じ、愛があってお互いが求め合うからこそ、肉体の壁をこえたいと思う道理だと思っております。

    しかし、これが過ちを招く事もあるんですよね。それでも本人はこの時は本気だったから、それで良かったと思っているのなら良いのですが。

    とくに女性は心や雰囲気を大切にされていらっしやる方が大半だと思われます。

    『情交とは、正しく、情を交わす。』まさにその通りだと思われます。

    しかし、男性には一部?……一部ならいいのですが、おそらくは一定数、排泄欲、支配欲にも似た種類の感情を抱く者も少なくありません。これが私には非常に不快なのですが、これらの人種はストレスと性欲、支配と性欲が連動しており、衝動に駆られるようでございます。

    彼らのような者の感情や、思考など、理解したくはありません。しかし、身近にいないわけでもないところがいただけない。

    15.6の若者に言いたい。とくに男性諸君。
    性欲は一人でも満たせるが、失った人の心は取り戻消せない。
    人の純心を無碍に奪うことは、人殺しに等しい。
    その人の人格が崩壊し、自殺に至ることもある。
    若いうちに快楽を知ると、猿のように回数をこなすことになる。回数は妊娠の確率を大幅に上げます。
    その妊娠に責任が持てるのか。
    人一人の命の重さは、自分自身の命と測りにかけてほしい。
    いや、一人とは思わないで欲しい。二人以上の人生に関わってきます。

    軽い気持ちでする若い人が非常に増えていると聞きます。海外やあるいは昨今では、結婚より先に体の相性も大事だと言われます。なので婚前交渉は当たり前の時代だと言えるのかも知れません。そこまで硬く、重く、考える必要も無いのかも知れませんが、どちらにしても、お互いの同意の上で行なって欲しいと思います。

    多様性の時代。きっと大切なものは変わらないと私は思います。

    それが加須千花先生の仰る『心』だと、私は思っております。

    むしろ、その心を溶かすような交わりを、是非経験して欲しい。そう思っております。その為に、人の心には、思い遣りを以て接して欲しいと思います。



    言葉、選んだつもりですが、大丈夫でしょうか。必要なら削除するので仰ってくださいm(_ _)m
  • かごのぼっち様

    熱いコメントをありがとうございます。
    削除は不要です。

    そうですね〜、男性のほうが、衝動的な欲求は、あるのでしょうね。
    無理やり・暴力は論外。
    かごのぼっち様のおっしゃる通りです。

    同意、そして、思いやりが必要ですね。

    さらっとした返信になりますが、かごのぼっち様のコメントに、何かつけたす必要もないので、このようなお返事になります。

    ん〜、若い読者さまに届くと良いな。
  • 後朝に、“今が一番幸せ”と言い合えることが理想と考えます。
  • 獅子2の16乗さま

    ええ、きぬぎぬに、“今が一番幸せ”と言い合える。男も、女も、等しく。
    それが理想ですね!
  • これから自分の作品で性的な表現をどうして行ったらいいか
    考えているところなので、とても参考になりました。

    娘に読まれたら恥ずかしい問題が残っているので、
    まだかけるかは分からないですがw
  • こばやし あき様

    参考になったのなら幸いです。
    カクヨムは、タイトル、キャッチコピーに、えっちな単語を入れると、運営から注意されることがあるそうですが、おそらく、中身については、割と自由なようです。

    書きたいように書くが吉です。
    無理に性的な表現を入れる必要はありません。
    ぜんぜん、性的表現がなくても、カクヨム読者は、きちんと読んでくれます。
    「自分の理想はこんなカップル」
    「こんな表現が、この二人には必要なんだ。」
    「こんなドキワクのえっちな小説が読みたかったんだ」
    と思うなら、書いたら良いと思います。
    作者が楽しんで書いてるかどうか、は、読者にきっと伝わると思いますよ♪
  • まあなんて愛に満ちたイラストなんでしょう。
    お話も絵もとてもとても感動したわ。
    (ずっと心にお持ちで合ったことはわかってるの。
    これを声に出して伝えようと、背中を押してくれたきっかけがなんかあったのかしら?とお訪ねするのは無粋なのかしらね?)
  • 蜂蜜ひみつ様

    ささっと描いたイラストですが、「愛に満ちたイラスト」と言ってくださって嬉しいです。

    この話の内容は、ずっと心に持っていたと、ばれてましたか。さすがでございます。
    この美のこ様のご著作を案内した近況ノートに、たくさんの反響があったので、
    「今なら、大勢に読んでもらえるかも!?」
    と思って公開しました。
    思ったほどの大きな反響にはなりませんでした。
    やはり、この美のこ様の影響力が大きかったようです。たはははー(^o^;)
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