全然、物語とは関係ない思い出話なんですけど。
今から十年くらい前、街の大通りで物乞いをしている少年がいたんですよね。
親と一緒っていうのはまあまあ見る光景なんですけど、子供一人っていうのは珍しくて。
現地の言葉が喋れない、ルーマニアあたりから来た7歳くらいの子。
道を通るたびにいたんで、学校にも通っていなかったんでしょう。
本当に余計なおせっかいなんですけど、文字の読み書きくらいはできた方がいいんじゃ……?って何回かアルファベットを教えたりしました。
なんか子供とは言えめちゃくちゃ怪しいし、なにがバックにいるか分かんないし、最初は近づく前に両脚がガクブル震えてましたw 自分で自分の脚の震えにびっくりしました。
そうしたら、近くの建物のオーナーに「その子は自分の名前が書けるんだからいいじゃん」って言われたのを覚えています。
そんなもんでしょ、って堂々と言われると、本当にそんなものかなって気がしてくるんですよね。日和見なもんで。
んなわけはないんですが、向こうからしたら私の方が圧倒的に不審者なわけで、事情を知っている人かと思ったら、なんて言ったらいいか分かりませんでした。
なにかできる事はないかな、ってネットで保護してくれそうな団体とかに連絡したりもしたけど、べつに何かが変わることはありませんでした。
ウクライナとロシアの戦争が始まった時にも思ったんですけど、学校で教わる綺麗なことって本当に綺麗なんですよね。ああ、現実ってそんなものかって思いました。
いつの間にか、姿を消していたけど。
あの子、生きているのかな。