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【デバ最】◆24.5話 流ガンVS I釘◆

 対人戦イベント最終日の一幕です。
 グリム達(主人公)とは関係の無いところで起きた出来事です。短いですが、楽しんでくれると嬉しいです。
 
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 ボウガンを構えた女性=ショット|流《ル》ガン(流ガン)は荒野の中に立っていた。
 口元にはマフラーをあてがい、無口に構えていた。
 遮蔽物が完全に無い。この状態では狙われたらお終いだ。

「さてと、得物何処に……」

 周囲を見回してプレイヤーを探した。
 すると背中をゾクリとする感触がした。
 
 流ガンは素早く身を翻した。
 ボウガンの照準を向けると、引き金を引こうとする。
 けれど引く前にダガーが降り注がれた。

「うおっ!?」

 流ガンはダガーが顔を貫こうとしたが、冷静に蹴りを飛ばしてダガーの柄を払う。
 すると目の前に居た男性は、流ガンに覆い被さろうとするが、素早くバックステップを取った。

「チェ、姉ちゃん躱すの上手いねー」
「どうも」

 のらりくらりとしたダガーの男性=|I《アイ》|釘《ビス》ギュゥはニヤニヤしていた。
 面長な顔立ちに加え、長い顎髭を生やしていた。
 ダガーを逆手に持ち、軸をずらして流ガンのことを狙っていた。

「一体何処から来たの」
「さぁねー?」
「答える気はない?」
「どうだろうねー?」

 流ガンはウザかった。I釘のことを睨み付けた。
 この男性と関わってはいけない。
 全身に悪寒が走ると、ボウガンを構えると同時に、I釘がダガーをチラつかせる。

 グルリと回転させると、手持ち武器を投げ付けて来た。
 ボウガンを構えると、ダガーを撃ち落とそうとする。
 けれどI釘はそれを見越していたのか、もう一本ダガーを用意して、流ガンが撃ち落とし切れないと見越して投げつける。

「さぁさぁ、どうやって対処するかねー?」
「もちろん全部撃ち落とす」

 流ガンはパンパンとダガーを的確に撃ち落とした。
 まるで流れるような技量で、I釘は一瞬驚く。
 けれどすぐに拍手で対応すると、流ガンはボウガンを向けた。
いつでも撃てると脅しをする。

「黙って。どのみち倒さないといけないから」
「倒すなんて物騒だねー」
「ん? かなりマイルドに丸め込んだはずだけど?」
「そう言うことじゃないんだよ、姉ちゃんよー」

 そう言うと、I釘はその場から走り出した。
 素早く移動すると、近くによって流ガンのことを切り裂こうとする。
 けれどボウガンの方が強い。それを証明したいのか、ボウガン本体で受け止める。

「へぇー、受け止めるのねー?」
「当然のことよ。それに受け止めた時点で、私の勝ちは決まっているの」
「根拠はあるのかなー?」
「当然。この距離なら、絶対に避けられない!」

 ボウガンの引き金を引いて、I釘を撃ち抜こうとした。
 けれどI釘は一切動じない。目が動いていなかった。
 完全にイッているのか。長い髭を揺らしながら、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。

「撃てるものなら撃ってみるといいぜぇー」
「当然撃つに決まってる」

 引き金を引いた。パン! と轟音が響く。
 ボウガンの矢が放たれると、I釘はダガーの平らな面で弾いた。
 あり得ない。あり得ない動きだった。けれど一変してピンチになったのは、至近距離で再装填できない流ガンになる。

「くっ、邪魔!」
「おっとっと!?」

 流ガンはI釘を蹴飛ばした。
 するとダガーが一本置き去りにされると、お互いに距離を取り合う。
 隙を見て矢を再装填する。これ以上遊んでいる余裕は無い。

「もう仕留める」
「仕留められるのかねー、姉ちゃんよー?」

 流ガンとI釘は互いに距離を取ってはいるが、殺気同士でぶつけ合った。
 もはや二人にしか見えない感覚がある。
 周りのプレイヤーなんてどうせいないと高を括り、お互に凌ぎを削り合うことに全力を注ぐのだった。

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