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スウィンドラーは懲悪せり 《花は根に、鳥は故巣に》4【公開プロット】

「第三幕」
~帰路~
・(※場面そのまま継続)だが、輪花の訴えと降伏を耳にしながら、御園はスウィンドラーを見逃さない。楓一郎を輪花につけて、それから御園はなぜかスウィンドラーの身柄をダンに担がせる。須佐美一家の問題とその人(スウィンドラー)は関係ない、としてスウィンドラーの解放を求める輪花に対し、御園は、独り闇市なる情報屋からスウィンドラーが狙撃手を雇い、竜苑の暗殺を企てていたという情報を得たことを理由に、スウィンドラーは無関係ではない、と輪花の求めを一蹴する。そうして輪花は失意のうちに実家に連れ戻され、スウィンドラーもまた須佐美一家にとらえられてしまうのだった

~復活~
①日常の世界(サブ2)
・場面転換。数日後のこと、輪花は休日の午睡がもたらした「スウィンドラーと過ごした日々の夢」から目覚める。ここで、今の輪花はひとまずは須佐美一家の次期当主としてかつてと変わらぬ丁重な扱いを受けていること、家出をしていた事実と同じように(こればかりは友人に相談できるようなことではなかったため)実家に戻っていることは美乃里や秀斗に伝えていないこと、その上で普段どおりの自分を取り繕って高校に通っていること、最も重大な事実としてスウィンドラーが須佐美一家にとらわれたままどうなったかの情報がまったく伝わってこないこと、などを説明する
・スウィンドラーがどうなったのかは気になるところだが、母親たる御園に聞いたところで答えてもらえるとは思えない。そもそも、そんなことを聞けばまた家出するつもりか、と疑われ、いくらか自由がある今の扱いからより厳しい縛りを受けかねない。ゆえに輪花は意を決することができず、「何かの拍子にもう一度、今度はスウィンドラーと一緒に実家を抜け出せるかもしれない」などとよもやに引かされたまま、悶々とこの数日間を過ごしていた

②冒険への誘い(サブ2)
・そんなとき、輪花の自室(桜花の自室の正反対にある部屋)がノックされ、ティーセットを載せたワゴンとともに見慣れないメイドがひとり、やって来る。時刻はもうすぐ午後三時になろうとしており、輪花はティータイムに現れない自分のために御園がいつものようにメイドを向かわせたのだろう、と考える(見慣れないメイドについては、おおかた新人なのだろう、と考える)
・輪花はこれまたいつものように、今は紅茶を楽しむ気分ではない、とメイドを追い払おうとする。いつもの流れならメイドはそのまま輪花の言いつけどおりに帰っていくのだが、そのメイドは輪花の言いつけになんら耳を貸すことなく、ずかずかと輪花に近寄り、まさかの平手打ちを輪花のほおに食らわせた
・その虚を突くようなありえない振る舞いから一転して、メイドはこれまでの声色と口調をどこか聞いたことのあるものへと変えて、スウィンドラーがとらわれていながら(なおかつその原因でありながら)なんら行動を起こさない輪花を口汚くなじる。一応、次期当主である竜苑の娘に対する乱暴な振る舞いに、輪花は混乱をきたすも、間断なくメイドの正体がかつて電話口で水平思考ゲームを挑んできたあのキトンであると気づかされる
・会って話すのが初めてという意味では初対面になるが、初めましての挨拶も抜きにして、どうしてキトンが須佐美邸にいるのか、と輪花は尋ねる。
 対してキトンは、数日前の真白市内のデパートで起きたドタバタをインターネットで知り、現場に散乱していたらしい道具類(とりわけ、普通なら持ち歩くはずのない小型の消火器)からそのドタバタの関係者がスウィンドラーであると気づいたこと、
 ゆえにあの日になにがあったのかをスウィンドラーに確認しようとしたが、なぜか一向に連絡がつかなかったこと、
 そうしてスウィンドラーの足取りを探るうちに須佐美一家がドタバタのあった日に動いていたとわかったこと、
 さらには事務所(しぶとい悪人兄弟ふたり組に火炎瓶を投げ込まれた、あの旧事務所のこと)がもぬけの殻でスウィンドラー(さらには輪花までも)が見当たらなかったこと、などを理由に、もしやと思って須佐美邸に潜り込んだのだ、といきさつを語る。舞台稽古を放り出し、持ち前の変装術でもって新人メイドに扮し、内部で聞き込みをしてようやく真相をつかむに至ったのだ、とも
・キトンは輪花が尋ねるより先に、スウィンドラーが須佐美竜苑暗殺の首謀者として須佐美邸の地下室に幽閉されていることを説明し、助けに行くぞ、と輪花に発破をかける

③冒険への拒絶(サブ2)
・スウィンドラーの現況を大づかみで把握したものの、スウィンドラーともどもとらわれて以来、輪花はすっかり意気阻喪しており、極道の本拠に鮮やかに潜入したり、次期当主たる輪花の目すら欺く変装ができたりするキトンなら、ひとりでも助けられるはず、むしろ自分がいても足手まといになるだけだ、と卑屈な態度でキトンの言葉に背こうとする

④メンターとの出会い(サブ2)
・するとキトンは、桜花の妹なんかに話すこと自体が最悪の極みだ、としながらも、輪花の協力なくして迅速かつ確実にスウィンドラーを助けることができない、と苦虫をかみつぶしたように告げる。
 しかしてキトンは、竜苑暗殺の首謀者として疑われている状態でとらわれたまま、ということは、とりもなおさずスウィンドラーが実行犯ではないと須佐美一家は判断しているであろうこと、
 その上でとらえたまま生かしているのは、十中八九、実行犯に関する情報を引き出したいからだろうということ、
 なにより今回のスウィンドラー拉致計画(※輪花の連れ戻しも重要ではあったが、あの段階における御園にとっては「夫を傷つけた犯人への復讐心」で頭がいっぱいだったため)において、須佐美御園は構成員らの目に見てかなりの本気であったらしく、(キトンの女の勘では)夫たる竜苑を襲った犯人に復讐を果たすために今の御園はなにをするか知れたものではない状態であること、などを輪花に語って聞かせ、すなわちこのままではスウィンドラーの命にかかわる、だから一刻も早く、考え得る限りのベターな手段でもって助けなければならないのだ、と強く主張する

⑤第一関門(サブ2)
・スウィンドラーの危急を知らされ、輪花はこのままなにもせずに傍観していていいのか、と自問自答し、やはり逃げずに立ち向かわなければ、と懸命に決意する。今、この場でスウィンドラーを救えるのはキトンと、そして輪花のみであるがゆえに
・互いに協力態勢がはっきりしたところで、キトンから具体的な現状と救出手段が説明される。地下牢にとらわれているらしいスウィンドラーだが、まず地下への扉が施錠されており、これのカギが必要となる。地下牢もおそらく施錠されているので、こちらのカギも同様に見つけなければならない。
 カギ探しにおいて、今のキトンはあくまで新人メイドを装っているにすぎず、構成員はまだしも、同じメイド、特にメイド長のような管理職系の使用人とあまりかかわっていると気づかれてしまう。よっておおっぴらに動けるのは輪花のほうであり、キトンの役割はそのサポートとなる。
 地下牢には看守役の人間が常駐しているであろうことが予想されるが、それについてはキトンがどうにかする(竜苑様がお呼びです、とでも言えばいい、と考えている)。首尾よくスウィンドラーを牢から出したあとは、あらかじめ用意しておいた荷物運搬用の台車(両側に柵のようなハンドルがある、いわゆるホテルカート、バゲージカートのようなタイプ)に布の覆いをした上でスウィンドラーを乗せて脱出する。
 とにもかくにも、時間との闘いになるであろうとして、キトンは早速の行動を促す。かくして輪花はキトンとともにスウィンドラー救出に乗り出すのだった

・一旦場面転換、からのふたたび輪花視点。それから輪花は使用人や構成員の目を盗みつつ、食堂、厨房、客間、書庫、使用人および執事(楓一郎)の部屋、そして開かずの間(桜花の部屋だった場所。多少は清掃されたものの、曰く付きとなってしまったために封じられている。キトンは間取り的にここが桜花の自室であることがわかっているが、様子からいってカギがここにあるはずがない、と感じ、入れなくても気にしない)と、順番に調べていったものの、カギは未だ見つからずにいた(省略して描写する部分と、省略せずに描写する部分を意識して書くこと)
・そうして探すこと約十五分、輪花はようやく両親の寝室で地下へのカギも含まれていようカギ束を見つける。だが、折悪しくもカギ束を懐にしまおうとしたタイミングで寝室に御園がやってきてしまう
・下手に口を開けばいぶかしまれるであろうキトンは最低限の発言にとどめ、実質的に輪花ひとりに御園の対応を任せる。輪花は怪しまれないよう、とっさに「ティータイムをお母さんと過ごそうと思って」などと出任せを使う
・ようやく娘が歩み寄りの第一歩を踏み出した、と感じた御園は、相手が愛娘だったがゆえに輪花の出任せを信じてしまう。輪花を抱きしめたのち(ここで輪花の懐にしまったカギ束がこすれた音を鳴らし、さらには御園の体に当たってしまう。だが、すんでのことで御園は隠されたカギ束に気づかない)、お庭でゆっくり過ごしましょうね、と言いつつ、先にお父さんを呼んでくるわ、とその場をあとにする
・お父さんを呼ぶ、という御園の言葉に、お父さんは入院しているはずでは、と輪花は驚く。対して(御園が去ったことでようやく口を開けるようになった)キトンは、聞き込みをした限りでは今日、竜苑が帰ってくるとみんな知っていたけれど、などと突っ込む。そこまで言われて、やっと輪花も、おとといか昨日の夕食時にお母さんからそんな話があったっけ、と思い返す。当時は塞ぎの虫によってぼんやりとしていた時期だったため、母親たる御園の言葉さえ、その多くが右の耳から左の耳に抜けていたのである
・さておき、一時的とはいえ、監視者として最も厄介であるとおぼしき御園をうまいこと追い払いつつ、ほぼ確実に間違いのない目当てのカギを手に入れることができた。好機逸すべからず、と輪花はキトンと意見を一致させるや、ただちに地下への扉へと飛び、それを開いてコンクリート打ちっぱなしの階段をばたばた下る
・キトンの口から先に語られた計画において、もし看守役がいたなら竜苑を出しにして地下牢から引き離す――輪花もその段取りをしかと頭に入れていたが、ここでまたも予想外の事態に見舞われる。看守役の構成員がいるであろうと思いきや、そこにいたのはほかでもない須佐美一家の現当主、須佐美竜苑だった
・どうしてお父さんがここに、と恐る恐る尋ねる輪花に対し、竜苑は私の暗殺をもくろんだという男と言の葉を交わしていたのだ、と厳かに返す(※ぶっちゃけ、ここで竜苑とスウィンドラーが何話してたのか考えてないっす。実は桜花の死が烏野組の直接の仕業ではない、という事実を竜苑が知っているでもなし、竜苑の話からスウィンドラーがぴんとくるようにも思えず、といった感じ。なにかの折に活用できればいいね、ということにしておく)
・まさかこんなところで父親に出くわすとは思ってもおらず、輪花は竜苑の(視覚的な)圧にみるみる萎縮していく。さすがにこれはまずい(こんなところで計画がおじゃんになっては困る)、として、キトンがここで口を開き、当初の計画に準ずる流れで「ティーブレイクのお時間につきお探ししておりました」「お庭で御園様がお待ちです」などと竜苑に告げる
・しかし、竜苑はその言葉をたちどころに(実際はあながち嘘でもないが、キトンの魂胆を察した上で)虚言と見抜き、そればかりか、しからばスウィンドラーを救いにきた仲間といったところか、などと邂逅まもなく核心に迫る。竜苑の本領を目の当たりにして、キトンも輪花ほどではないが一驚を喫する
・けれどそのとき、鉄格子に寄りかかっている白い頭が輪花の視界に入り、畏怖の念が吹き飛ぶ。無意識に輪花はスウィンドラーを呼びながらスウィンドラーの元へと駆け出す。先輩、と呼びながらキトンも後に続く
・足に重げな枷をはめられ、幾筋ものミミズ腫れを両腕に残し、白いTシャツをほこりと血液とで汚した、むごたらしいありさまのスウィンドラーが輪花に気づいて顔を上げようとするも、彼女と再開できたことへの安心感ゆえか、ふっと意識を落として、膝立ちの状態から真横に倒れてしまう
・キトンが危惧していた命の危機は、残念なことに、当たっていた。今しがた失神したスウィンドラーから委細を聞くことこそかなわなかったが、どれほどの仕打ちを受けたかは想像に余りある。これが須佐美一家に逆らった者の末路か、と輪花は膝から崩れ落ちる
・ここでキトンはスウィンドラーの無残な姿にかっとなり、猫をかぶるのをやめ、竜苑に向かって激する。対して竜苑は、いわば強攻策でもってスウィンドラーをとらえ、拷問にかけたのは我が意によるものでなく、妻の御園の独断であったこと、他方で須佐美一家の次期当主を身勝手にも配下に従えるばかりか、真白の支配者たる須佐美一家の現当主に弓引くような輩とあらば(受けたであろう拷問が過剰だとは思えるものの)かくもなろう(もっとも、私であればやすやすと力に訴えるまねはせん(手練手管と欲望への刺激をもって従わせる)が)、と竜苑自身は考えていること、などを語る
・そんな父親の話に、輪花は声を震わせながら、それでも面と向かって、(スウィンドラーの捕縛や拷問を)お父さんが命令したわけじゃないなら、こんなひどいこと、やめさせてよ、と竜苑に訴える。もう二度と、お父さんにもお母さんにも逆らわないから、一生に一度のお願いだから、須佐美一家の次期当主を何度も助けてくれたこの人を、今日だけは助けてください、と
・すなわち、「スウィンドラーと袂を分かち、須佐美一家の次期当主たる立場を受け入れて(≒「スウィンドラーと過ごした自分」という存在と時間すべてをうち捨てて)でも、|大切な人《スウィンドラー》を守りたい」という輪花の思いは、嘘偽りのない本音だった。それを未だかつてない真剣な言葉でもって受け取った竜苑は、深く息をついたのち、枷を外してやるがよい、と輪花に古びたカギを手渡す

~宝を持っての帰還~
・そのカギを使い、輪花はキトンとふたりでスウィンドラーを地下牢から開放する。だが、ひとたび地下室を出れば、そこから先は道を違えることとなる。ゆえに輪花は、キトンとふたりで、地下室の扉付近に用意されていた荷物運搬用の台車に瀕死のスウィンドラーを三角座りの姿勢で乗せたのち(ここでキトンが白い布を手にしており、これでスウィンドラーの姿を隠した状態で須佐美邸を脱するのであろうことを描写する)、今生の別れのつもりでさようなら、と、涙ながらにスウィンドラーに告げて、竜苑とともにその場をあとにする
・これにて輪花の自由は失われた。だが、これまでうやむやにしていた家出の問題、次期当主の問題に頭を悩ませる必要はなくなった。なぜならもう、輪花はかつてと同じかごの中の鳥であり、一路、須佐美の女として進むほかないのだから――

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