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スウィンドラーは懲悪せり 《アンストッパブル・ラン》1【公開プロット】

「第一幕」
~日常の世界~
・これまでのおさらい。輪花はスウィンドラーに対する「自分を懲悪するのではないか」という恐れをある程度払拭した。しかし、その代わりにスウィンドラーは重傷を負い、錬磨は後日、死亡が報道された(その事件については、犯人は不明、凶器は拳銃、目撃者はゼロ、立体駐車場のオーナーは白髪の人間が事件の時間帯に立体駐車場に入っていった、という事実無根とも言える証言をしている、ということが報道されている。パペティアによる、烏野組の関与の隠蔽ともいえる情報操作である)。
 特に悲惨だったのは、生徒会長の栗栖秋奈だった。ニュースで事件が報道された後日、全校集会で錬磨の死を悼むことになり、副会長だった彼にもっとも近い人物として生徒会長である彼女が登壇し、お別れのあいさつを述べたものの、彼女の目元は真っ赤に腫れていた。錬磨の死に際して、人知れず涙を流していたのは明白だった
・輪花はあの日の事件をきっかけに、烏野組の脅威を痛感し、須佐美一家の次期当主としても、仕事人の助手としても放っておけないと感じるようになっていた
・それはそれとして、ある日、輪花は料理の宅配サービスである「クーガーイーツ」を注文していた。新しい事務所はマンションの一室であり、いざ買い物に行くのはやや面倒だったからである
・そこへ、インターホンが鳴り、輪花は玄関を開ける。クーガーイーツの宅配としてやってきたのは、ポンパドールヘアの極めて古い不良のような、馬面の中年男性だった
・男性は注文を届けに来たとして、輪花(女性)にどぎまぎしつつバックパックから料理を出そうとする。だが、輪花の顔をまじまじ見て、しかしてようやく見つけた、と突然大声を上げて輪花をいずこともなく連れ出そうとする
・当然、輪花はわけがわからず抵抗する。輪花の敵すなわち烏野組やら須佐美一家やらの手先とも考えられたが、あまりの直球に理解は及ばない
・そこへ療養中のスウィンドラーがなんの騒ぎか、と現れる。すると馬面の男性はスウィンドラーをまたもまじまじ見て、白い頭と声色からその男を「兄貴!」と呼び、輪花を突き出そうとする(すでに部屋の中にいるのに……)
・そんなこんなで、場面転換、馬面の男性ことフォールはスウィンドラーの仲間であること、スウィンドラーから輪花の画像を送られ、探し続けていたこと、などを説明する
・誤解が解けたところで、フォールはスウィンドラーから、なぜケガをしているのかを聞かされる。そこでフォールは激昂し、すぐに烏野組にお礼参りに行かなければ、と腰を浮かそうとする。さすがに単純すぎると、行ったところでかえって(スウィンドラーにとって諸々都合が悪いなどの理由で)迷惑だ、とスウィンドラーに制止される
・ただ、フォールが人の話を聞けないタイプの、じっとしていられない性分であることを把握していたスウィンドラーは、そういうことなら、とフォールに「ハイッセム教団についての情報を集めてほしい」と指示を出す。自慢の脚を生かせるまたとない仕事だと思うよ、と
・言われたフォールは合点承知、と言わんばかりに了解し、すぐに荷物をまとめて飛び出していった
・輪花はスウィンドラーに、ハイッセム教団について尋ねる。対してスウィンドラーは、真白市に根ざそうとしている新興宗教団体さ、と簡単に説明し、輪花の気にすることじゃない、と付け加えるのだった(スウィンドラーは、輪花の居場所を流したアーテーに普段以上の疑いを抱いた(なにかよからぬ計画があり、それが本格的に動きだしたのではないか、といった疑念)。そんなおりに旋風が現れ、彼の脚を利用することにしたのである)

・秀斗の回想。小柄な自分はパワーで勝負できず、ゆえにスピードやテクニックを磨いてきた。しかし入学早々に入部した野球部の監督はスモールベースボールと揶揄される日本の野球を好んでおらず、「野球は点取り」「打てない選手はベンチの二の次三の次」といったタイプだった。
 もちろん秀斗は(入学早々の入部という気合いを見せたにもかかわらず)いい印象を与えられなかった。そこで秀斗は体育祭に目をつけ、監督に啖呵を切るかのような形で約束を取りつける。今年の体育祭のクラス対抗リレーで一位を取ったら、レギュラーに加えてもらう、と(どうせできないだろう、と思った監督の大口である。もちろん今のレギュラーメンバーは監督の突然の一存に非難囂々だったが、監督は思いきってしまった)
・しかしながら、秀斗は伸び悩んでいた。朝練に走り込みをプラスして、日々鍛錬を積んでいても、めざましい成長は見られず、このままでは監督との約束をふいにしてしまう可能性が高かった
・そんな話をたまたま再開した紫苑にして、紫苑からは頑張っていることを褒められながら、同時に無理はしないよう告げられる(ついでに「黒唇」という妖怪について知っているか聞かれる)。ここで秀斗と紫苑の関係について少し説明。
 秀斗と紫苑は秀斗が小学二、三年の頃から、家族ぐるみの付き合いがあったこと、秀斗が中学進学に際して真白市に越してきてからは付き合いが少し薄くなっていたこと、秀斗にとってあるときから紫苑は好意の対象となったこと(ついでに紫苑が霊媒師、つまりはオカルト系の女性であること)、などを説明する

~冒険への誘い~
・回想終わり。そんなとき、走り込む秀斗にわざわざ声をかけるばかりか、いっちょ前にアドバイスをする馬面の男が現れる

~冒険への拒絶~
・不審者かと思い、スルーする秀斗だったが、その男がチャリから降り、すごい速さで秀斗を抜き去り、行く道に立ち塞がった

~メンターとの出会い~
・不審には違いないが、馬面の男は言動をもって「速く走ること」を得意としていることを証明した。ゆえに秀斗は少なくとも「速く走ること」に関しては、この男はまっとうなことを言っている、と気づかされる

~第一関門~
・かくして秀斗はその男に、速く走れるようにトレーニングに協力してほしい、と頼む。男は快諾する。そこで秀斗は男に名前を名乗り、また名前を尋ねる。対して男は、いかにもかっこつける感じで自らを「韋駄天の《Foal(フォール)》」「迅速の旋風《つむじ》様」と名乗るのだった

「第二幕前半」
~試練・仲間・敵対者~
①日常の世界(サブ1)
・旋風は秀斗にトレーニングをつけるようになる。

②冒険への誘い(サブ1)
・しかし、スウィンドラーから命じられた情報収集などが手つかずになっていることに気がつく

③冒険への拒絶(サブ1)
・尊敬する兄貴たるスウィンドラーの仕事を投げ出すなどもってのほか。しかしながら、任侠を尊ぶ旋風にとって、「速さ」を求める若者の頼みに男気を見せた手前、秀斗とのトレーニングもなあなあにはできなかった

④メンターとの出会い(サブ1)
・そこで旋風はスウィンドラーに直談判を試みる。自分を信じてくれるやつをもう二度と見捨てたくないんだ、若き「速さ」のために、兄貴からの仕事に遅れが出ることを許してほしい、と(ここで旋風の過去にちょっと言及してもよさげ。烏野組にちょっかいをかけ、そのせいで「疾風怒濤」が壊滅へと追い込まれ、リーダーだった若き日の旋風は我が身かわいさで逃げ続け、とうとう烏野組に捕まりそうになったところをスウィンドラーに助けられた、以後はそのスウィンドラーを命の恩人かつ兄貴として慕うようになった、的な感じで)

⑤第一関門(サブ1)
・スウィンドラーは、最初はすげなく断ろうとするも、同席していた輪花が秀斗から聞いていた監督との約束について思い出し、スウィンドラーに伝える
・それを受け、スウィンドラーはしばらく黙るも、「快打がもたらす逆転劇を野球の花というのならもったいないな。いぶし銀の|プレーヤー《しごとにん》が盤面を整えなくちゃ満開には咲かないだろうに」などと答えて、旋風のお願いを認めるのだった(ここでスウィンドラーは輪花経由で、近く卯木高校の体育祭が開かれることを知る。そして自分も見に行こうと考える)(結局、自分が懲悪するわけでもないということで、スウィンドラーは旋風の訴えを認めることにした。もちろん、のちの監督騒動においても自分が懲悪するほどの相手じゃない、そっちはビアーの領域だろう、として本章では仕事をする気はない)

~試練・仲間・敵対者(輪花視点)~
・体育祭当日、輪花は借り物競走に出る。お題は「白いもの」。思いのほか対象が多く、誰から借りようか輪花は迷う。するとそこへ何者かが飛び出してくる。驚くことに、それはスウィンドラーだった
・スウィンドラーは自分の白い頭をこれ見よがしに指さし、ジェスチャー的なものでアピールする。輪花はスウィンドラーが体育祭に来るとはつゆほども思っておらず、唖然とする
・そこでスウィンドラーは、輪花をお姫様抱っこで抱えて、自らの脚で一着ゴールする。怒濤の流れに混乱するも、正気に戻った輪花はなぜスウィンドラーは来たのか、そもそもケガをしているのではなかったのか、と本人に尋ねる
・対してスウィンドラーは、そこで思い出したかのように腹部の痛みを気にしてうずくまる。空元気だったのである。

「第二幕後半」
~最も危険な場所への接近~
・そんなこんなでスウィンドラー参観のもと、秀斗にとっての大舞台となるクラス対抗リレーが幕を開ける。秀斗のコンディションは上々、トレーニングの成果にもある程度の自信があった

~最大の試練~
・だが、全三組のクラス対抗リレーは、中盤で秀斗のクラスメイトの転倒により、ほか二クラスのリードを許してしまう展開になった
・それでも秀斗のクラスは巻き返そうと発憤し、どうにかアンカーである秀斗の番を迎える。秀斗がバトンを受け取った時点で一位との差はコース半周をぎりぎり超えていない程度。巻き返しは絶望的に思えた

~報酬~
・そんな中で走り出した秀斗の耳に、旋風のアドバイスが届く。幻聴ではない。「疾風怒濤」と刺繍された大旗を振りながら、旋風が秀斗を応援していたのである
・その励ましに秀斗は気を確かにする。一位を取ろうとする気持ちはもちろん大事だが、今はトレーニングの成果を遺憾なく発揮し、悔いのない走りをして力を貸してくれた旋風の気持ちに応えることに意識を向けるべきだ、と

「第三幕」
~帰路~
・現在、トップを走る相手はゴールまで十メートルを切っていた

~復活~
・それでも秀斗は旋風の声援によって焦りをかき消し、練習どおりの走りでぐんぐん差を縮めていく。そしてとうとう、トップを抜き去り、コンマ数秒の僅差でクラス対抗リレーを勝利に導いたのだった

~宝を持っての帰還~
・クラス対抗リレーが終わり、旋風からもよくやった、と男泣きされ、感慨無量の秀斗はひとりタオルで汗を拭き、レモン飲料でのどを潤す。そこへ美乃里が現れる。
・美乃里からも珍しく褒められでもするのだろうか、と思いきや、美乃里は優勝祝いにジュースでもおごろうかと思ったけど、教室にお財布忘れて自販機のジュース買えないから取りに行ってきて、とマイペースにお願いしてきた
・秀斗はその頼みを断り、教室に忘れてきたなら自分で取りに行けばいいだろ、と返す
・すると美乃里は、秀斗のほうが脚速いっしょ、秀斗にいじわるされたって紫苑にチクろっかな、などと(冗談のつもりで)秀斗に告げる
・それを聞かされ、渋々秀斗はクールダウンがてら、ひとっ走りして美乃里の教室へと向かう。だが、校内で女子の悲鳴を聞き、しかして赤茶けた眉の女子生徒をバットで威嚇する野球部監督の姿を目撃してしまうのだった

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