長らくお待たせし続けるのも申し訳ないので、ほんの一部ですが、第四部をちょっとだけ公開しますφ(・ω・`)
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五番街の歩道は、朝から観光客でごった返していた。
道の両側に並ぶ街路樹。その向こうに、神殿みたいな石造りの建物がどっしりと構えている。壁一面に垂れ下がる巨大なバナー。正面の大階段には、座り込んで写真を撮る人、コーヒー片手に喋る人、階段を駆け上がる子ども。
メトロポリタン美術館。
世界最大級の美術館にして——今日の、志桜里のアメリカ初ライブの舞台だ。
「おっきい! アスちゃん、お城! 今度こそ本物のお城だよ!」
ククルが俺の頭の上をぐるぐる旋回している。
「美術館だ。昨日エリカさんのビルでも同じこと言ってただろ」
「あっちは現代のお城で、こっちは昔のお城!」
「分類が雑なんだよ」
「ふ、ふわあ……大きい、です……」
月華が、建物を見上げたまま固まっていた。今日の月華はいつもの濃紺の袴姿だ。配信ゲストとして「和装のほうが絶対映える」と星凛に押し切られたらしい。梅のヘアピンが朝日を弾いている。
「配信開始まであと——」
志桜里が手元のスマートフォンを確認した。
「十七分です」
十七分。
その数字に、志桜里の声が、ちょっとだけ硬くなった。無理もない。日本と向こうの事務所が組んだ、正真正銘の世界デビュー戦だ。昨夜も遅くまで、星凛と通信を繋いで英語MCの練習をしていたのを俺は知っている。
「大丈夫か?」
「……はい。緊張は、してます。すごく。でも」
志桜里が、胸の前で小さく拳を握った。
「歌う場所が変わっても、やることは変わりませんから」
いい顔だった。浅草の最深部で四十万人の前に立った女の子は、太平洋を越えても、ちゃんと同じ目をしていた。
ちなみに、だ。
俺たちの遥か後方——通りを挟んだ並木の下に、三度笠に道中合羽の男が一人、立っている。
ハヤテだ。
配信には映らない位置で見守る、と本人が言い出した。護衛は俺と月華で足りる、自分は外から全体を見る、と。理屈は分かる。分かるんだが。
マンハッタンのど真ん中に、股旅である。
案の定、観光客が次々に足を止めていた。「サムライ!」「クール!」スマホを向けられ、写真を撮られ、いつの間にか隣に並んでピースまでされている。ハヤテは嫌がるでもなく、律儀に小さく会釈を返していた。
あれ絶対、今日中にSNSで「NYに現れた謎のサムライ」って拡散されるやつだろ。
配信より先にお前がバズってどうする。
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草稿段階なので、本公開時は変更されてる場合があります。ご了承ください<(_ _)>