勇者と魔王はよく使われるモチーフなので、ここらでざっとまとめてみようと思う。
自分のために!
◇「勇者」とは何か?◇
①生まれながらにして巨悪との対立を運命づけられた者、勇者
巨悪を倒すことを生まれた時から運命づけられている「勇者」なぜか日本の創作界隈ではあまり見られないか、見られても悪として描かれることすらあるタイプの勇者。
運命は本人には選びようもないことなので、
このタイプの勇者は背負わされた重荷や境遇や生まれ育ち、周囲の期待の重さに悩む。
「巨悪と戦うのは何故?」
という問いに対する答えが
「運命だから」
じゃあ、つまらないから日本では敬遠されるのかな?
「自分が自分なのは何か意味のあることなのか?」
「自分の人生はこれで良いのか?」
という問いは普遍性があって、ちゃんと考えるキャラクターにした場合、とても魅力的に感じる。
個人的には、運命だからとそのままなんの思考もせず丸呑みするようなキャラクターは勇者たりえないと思っていて、座して口を開けていたら飛び込んでくるものは運命と言わないと思う。
奮闘しない、悩まない者、勇者にあらず。
②後天的に得られる称号としての勇者
常人はどんなに頑張ってもまず得られない、超人的・神話的な偉業や能力による。それこそ魔王を倒したとか、魔神を倒したとか、世界を滅びから救ったとか。
結果として『勇者』と呼ばれる人たちのこと。
なのでその物語の最中に勇者と呼ばれることはあまりない。振り返ってみて初めて、ものすごいことをやってのけたと、あらゆる人に認められて賞賛された者。その後の行為によっては勇者と呼ばれなくなることもある。
③勇気ある行いをした者
大熊を素手で倒したとか、弱き者を守って戦った、中には新天地を切り拓いた人も入るかも。
難易度は高いが②に比べると実現しやすい偉業を達成した者。
成し遂げる人はリアルにもいる。
英雄(ヒーロー)とも呼ばれる。
ラノベの勇者は①か②がほとんど。
定義として①の勇者は必ず善でなければならないが(自分が悪ではないかと苦悩しながらの勇者もいるよ。)、②、③は必ずしもそうではない。
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「魔王」とは何か?
★邪神・破壊神は魔王としない
①「魔」の王
・魔族の王タイプ
魔族的な人たちがいて、それを率いる立場の者。
魔王になれる条件として、
ただもう強い/特定の家系の生まれ/特定の能力がある/運命的な生まれ方をした/そもそも魔族は全て魔王がつくっている/選挙で
などなど「王となる条件」のバリエーションは豊か。
自身は魔族でない者が魔王になることや、魔族以外を従えることもある。
作中に定められた王の条件さえ満たせば特にこうでなければならない。という決まったものは何も無いのが魔王。
②悪魔的な所業を行う集団の長
行う悪事は多種多様だが、人道に悖る行為をするためそう呼ばれる。
たいていの場合生易しい悪行では魔王と呼ばれない。悪行が及ぶ範囲は広く深刻で、あらゆる命を脅かす存在。
③悪をするよう生まれついている者で、恐怖政治をしたいと思ってる者
人の痛み苦しみが我が喜び。それによって他者を支配したいと考えている。
したがって、まともな者たちとの共存はできない。
他者を支配するので必ず集団の頭になり、その悪行によって魔王と呼ばれる。
④見た目や無知による蔑称
噂や誤解により①②③として見られる者
たまにチンピラのトップがそう呼ばれる。
①の魔族は「魔法を使う種族」や「人間とは姿が違う一族」とされることがあり、必ずしも悪ではない。①であり④である魔王も最近良く見かける。
②、③の魔王は悪行によって名付けられるため、必ず悪。①と③(②のこともある)の複合型が「よくある魔王」のイメージになる。
生命にとって不倶戴天の敵。
命惜しさや、その場しのぎ、悪への憧れなどでこのタイプの魔王に従っても待つのは破滅だけである。
③の魔王が恐怖政治の野望を持たない場合、個で行動し気まぐれに悪を行う者になる。
力がそんなに強くなければ殺人鬼、
強ければ全てを滅ぼす破壊神となる。
何にせよ悪。
いずれにせよ王とはならないので恐怖政治への野望は③の場合必須。
いろいろ考えてみたけど、①勇者、③魔王が日本の作品ではかなり少ないと感じる。
面白いね。