その握りを見た者は、一人も生き残っていない。
慶長十九年。一子相伝の暗殺剣「葬月流」を継ぐ鷹森弦一郎は、京での拝謁の場で幕府の耳目・三淵大
納言に刺殺された。
報せより早く、刺客十二人が鷹森の屋敷を囲む。
十二歳の兄・新之丞は葬月丸を手に一人で迎え撃ち、七歳の弟・蓮を逃がして斬られた。
正妻の志乃もその夜に死んだ。
父と兄と母を同じ夜に失った蓮には、一つだけ残ったものがあった。
「斬られた者は、一日後から七日後の間に死ぬ」——冥途の七送りの理と、葬月流三構えの全て。
七歳で全てを喪い、刃だけを抱えて生きた少年の物語。
◆葬月流(そうげつりゅう)◆
月を葬る名を持つ一子相伝の暗殺剣。門弟なし、道場なし、伝書なし。父から子へ、血と呼吸で受け渡
される。
傷の深さと角度を操り、致死までの時間を一日〜七日で制御する「冥途の七送り」を持つ。斬られた者
はしばらく普通に動けるため、犯人を特定できない。
◆タイトルについて◆
『不見之剣(みずのつるぎ)』は柳生宗矩『兵法家伝書』の語。「見えざる剣こそ至極」。最終話まで
読んだとき、その意味がもう一つ見えてきます。
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