時谷碧

私の好きな人には、好きな人がいるらしい。 告白の練習台になると、私は言った。 親友という立場を利用して、嘘の好きをもらおうとした、私の罪の物語。 月見草の恋スピンオフ、楓視点。

閉じられた村を、出る手段はたったひとつ。 白羽の矢に選ばれること。 だから、私は矢を盗んだ。

県外へ進学することで、高校卒業と共に、彼女への恋心も卒業しようと思っていたが……。

あと3分で旧地球は旧太陽に呑まれる。 新しい地球に移住した人類の一人、旧地球資料館の職員は空前の天体ショーには目もくれず、カップ麺を作り始める。

行ってはならぬ、見てはならぬ、呼んではならぬ。 禁忌を記した立て札の向こう側に、幼い妹が行ってしまった。 そこは、昔話の恐ろしい何かが住む洞窟。

告白の練習台になると言い出した親友こそが、私の好きな人だった。 私は女で、好きな人も女の子。 ずっと言うことさえできないと思っていた「すき」の言葉を伝える機会をもらった。

どっちが相手のことをより好きか――謎のバトルが今始まる。付き合ってもいないのに。