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逆境をバネに

今、暇なのでアマゾンプライムで映画を見ています。
『砂の器』と『はなれ瞽女おりん 』が好きですと最初に書いたのですが、
再度見直したらまさしく名作ですね。初期の映画の方ですが。
『砂の器』は父親がハンセン氏病(今ではこの病気偏見でしかありません)で、父親と主人公(犯人、息子、子役)と村を追い出され、漂浪の旅をする。太平洋戦争前です。親子は親切な警察官に助けられ、父親は施設に隔離され、息子は警察官の養子になります。その息子は、戦中戦後のどさくさに紛れ警官の元を離れ、戸籍も偽り有名で若手の新進気鋭の音楽家・加藤剛になります。政治家かなんかの金持ちのフィアンセもいます。戦後しばらくして、退職後の警察官・緒形拳は有名な音楽家になった和賀・加藤剛に気づくんですね。出自がバレないように和賀は警察官を殺害します。ここからは松本清張らしいミステリーになって、東北と山陰のとある地方の訛りが一緒とかがヒントになって刑事役の丹波哲郎と森田健作が追い詰めていきます。加藤剛のピアノで奏でる父と子の『宿命』が日本海側の厳しいくも美しい冬と言われなき差別と相まって涙をそそぎます。
『はなれ瞽女おりん 』も、瞽女(ごぜ)という盲目の女芸人の一生の物語です。普段は瞽女同士、集団で三味線を弾いて歌う旅芸人ですが、男と交わるとその集団から追い出され、はなれ瞽女になります。岩下志麻が演じるおりんは、ものすごく色気もあり綺麗です。粗暴だけど純真な原田芳雄と2人旅をするんですが・・・幸せは長くは続きませんね。原田芳雄は脱獄兵っていう事と、おりんを守るために傷害事件を引き起こし軍隊やら警察にしょつぴかれます。原田芳雄と無理やり別れされたおりんはその後、元の瞽女屋敷の女主を訪ね行きますが、死んでしまっていて屋敷は誰もいない。失意漂浪の末、ボロボロの格好で崖で転落死?孤独死?するというストーリーです。
両作品とも日本海側の冬の景色が素晴らしく、砂の器は太平洋戦争、はなれはシベリア出兵が大きくかかわっています。人間の持つ素晴らしさや情とともに、エゴや偏見、差別や裏切りをすごくうまく描いてます。この時の日本映画は素晴らしいです。
主人公の2人とも可哀そうな末路を迎えますが、逆境をバネに逞しく前向きに生きてます。その時代当たり前だったかもしれませんが、とてもメンタルが強い。現在、千葉県知事の森田健作氏は、もう一度『砂の器』を見た方がいいのでは。

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