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【磁力魔法】2024年クリスマス特別編【12/31まで一般公開】

1日に遅れですが、クリスマス特別シナリオを書き上げました。
楽しんでいただけたら幸いです。

1月1日からサポーター限定になります。

===以下より===

■鉱山都市イーヴェリヒト 冒険者ギルド

「ああ、よかった。ジュリアンさん! 緊急依頼がありますので、ご協力いただけないでしょうか?」

 俺がギルドに行くと、受付嬢のエミリアが呼び止めてくる。
 ちょうど、暇で仕事を探していたので丁度良かった。
 カレンダーを見ると、12月24日、クリスマスイブである。

「クリスマスだったか……彼女とイチャイチャするクリスマスっていつになったら過ごせるんだろうなぁ」

 俺はボソリとつぶやきながらギルドの受付カウンターに向かった。
 銀のフレームが上品な眼鏡をかけているエミリアは実に仕事のできるお姉さんで好みである。
 異世界に転生して初めてギルドでお世話になったこともあって、|贔屓目《ひいきめ》もあるのだが……。

「すみません、Aランク冒険者に対する依頼なのですが、出払っている方が多かったのでジュリアンさんが空いていて助かりました」

 エミリアが切れ長の目を細めて微笑む。
 この笑顔でノックアウトされた冒険者は数知れずといわれている……もちろん、俺もその一人だ。

「それで、依頼内容ですが討伐依頼です。セブンヘッドターキーを倒していただくことになります」
「七面鳥か……季節だものな。いいぞ、討伐なんて楽勝楽勝!」
「ありがとうございます。さすが、ジュリアンさんですね。おびき出す方法としては……」
「大丈夫、依頼書で後で確認するから……じゃあ、パーティのところに行ってくる!」

 俺は依頼書を受け取って、併設されている酒場で飯を食べているパーティメンバーに声をかけて依頼に向かったのである。

■ターキーフォレスト

「ちょっと!? ジュリ坊! あんなバケモノなんて聞いてないにゃぁぁぁ!」

 ドガガガガとキツツキのように口ばしが地面をえぐる。
 それを住んでのところで避けているのは、俺のパーティで一番俊敏な猫獣人のリサだ。

「悪い、俺もこんなバケモノだとは聞いてなかった……」

 よくよく思い出せば『セブンヘッドターキー』つまり、七つの頭を持っている七面鳥ならぬ七頭鳥だったのである。
 しかも、10mくらいの巨体が森の木々を倒しながら、俺達の方へ迫ってきていた。

「だいたい、Aランク冒険者の依頼なのですから簡単な訳ないじゃないですか」
「どーせ、エミリアはんにカッコつけたいから詳細確認しないでウケたんやろ?」

 エルフのエリカ、ドワーフのレイナからのツッコミを受けるが反論できない。
 だって、事実なんだもの……。

「う、うるさい! とにかく、あいつの動きを止めてくれ! 出ないと狙いが定められないっ!」

 俺が使える磁力魔法の中でも、最大火力の|〈磁力魔法:電磁加速砲〉《マグネス:レールガン》はチャージ時間がかかり、さらに狙いを定めるのが難しい魔法なのである。

「ならば、私に任せるのだ! とおおぅっ!」

 褐色のビキニアーマーのセリーヌがセブンヘッドターキーの前へリサと入れ替わるようにして出ていった。

|〈強化降霊:大猩猩〉《シャーマニックブースト:ゴリラ》

 褐色の肌の上に描かれている入れ墨が光り、突撃してくる巨大な鳥を両手で押しとどめる。
 ズガンと激しい音共にセリーヌの足が地面へと沈んだ。

「ナイスだ! いっくぜぇぇぇぇ!」
 
|〈磁力魔法:電磁加速砲〉《マグネス:レールガン》

 掌に載せていた鉄球を電磁加速をさせて巨大な鳥に向けて飛ばす。
 飛んでいった鉄球がセブンヘッドターキーの額に当たり、来たねぇ花火の様に頭部を吹き飛ばした。
 一つの頭が落ちたが、まだ6つの頭があり、痛みにセブンヘッドターキーが暴れだす。
 
「ええい、大人しくするのだ!」
「ジュリアン! 追加の鉄球や!」
「セリーヌ、もうちょっと持たせてくれ!」

 レイナが錬金術で鉄球を作り出してくれたので、それらを全て電磁加速させる。
 金属に作用する磁力を使える魔法。
 それが俺の使える唯一無二の魔法だ。

|〈磁力魔法:電磁拡散砲〉《マグネス:ショットガン》

 放たれた複数の鉄球がセブンヘッドターキーを文字通りハチの巣にする。

「やったか……にゃ?」
「フラグをたてるのやめろぉぉぉ!」

 俺の最大級の叫びが森にこだまするのだった。

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