少し前から章分けして、今更ながら読みやすくしてみました。
93年冬~11年夏にかけて書いた言葉たちを、今、こうして整理してみて思うことは、言葉は生き物なんだなぁということです。
生物(なまもの)ではなく生物(せいぶつ)なんだと思いました。
記憶に冷凍保存されていた筈の、お気に入りの言葉たちに、自分自身が全く感じなくなっていたり。
その時は風化しないと信じて使った筈の固有名詞が、やけに言葉の古さ(文章の鮮度のなさ)を強調したり。
大きく加筆する必要があるものは捨て、残ったものを、息を吹き返すようにほんの少しだけ手入れしました。
刀匠が、蔵に入れていた自慢の刀を研ぐように。とか言うと、美化しすぎですけれども。
昔の自分を少し肯定してあげることはできたのではないかと思います。
正直めんどくさかったけれど、なかなか面白い作業でした。
私は過去を否定する人間を信用できないのです。
それだけの責任感をもって今を生きたい、未来へつなげたいという意識の裏返しです。
そしてそれは、過去の肯定という作業につながるのです。
「OFF THE ROCK」の『必ず明ける夜に朝が来るのが一番辛い』というのが、私の文章観、ひいては人生観の全てです。
最高の瞬間、そのポイントは、等しく終わりであったり崩壊であったりの開始なのです。
だからこそ、逆に降りやまない雨はないと断言もできる。
私が最も愛する思想は『等価交換』なのですが、これは、その極みなのではないかと思っています。
――そして夜に生まれ朝を迎えた言葉たちにも、愛を。
定期的に読んでくれた数少ない読者様にとって、お気に入りとなれる言葉が生み出せていれば幸甚です。
読了感謝します。ありがとうございました。